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【前編】現役ミリタリーライター宮永・有馬のミリタリー放談

航空戦艦伊勢!重雷装艦北上!WoWsで語るロマン艦の世界~WGJ宮永忠将氏

2015年11月25日 18時00分更新

文● 有馬桓次郎 編集●南田剛志、村山剛史/ASCII.jp

欧州で“海戦”と言えばWWIのジュットランド海戦
つまり砲戦主体なので日米以外の空母ツリーは慎ましやかに!?

宮永 「ドイツの空母ツリーはどうなるんだ」って色んな方から質問受けるんですけど、これに関しては私のなかで答えが出ているんです。

有馬 ほうほう。

宮永 我々日本人が海戦というものに対して抱いている一般的なイメージとしては、太平洋戦争の海戦じゃないですか。そして太平洋戦争の海戦は空母が主体で、我々としても航空戦が海戦のイメージなわけです。

 その上で考えると、ドイツの「グラーフ・ツェッペリン」やフランスの「ジョッフル」、イタリアの「アクィラ」など欧州各国にも空母はあったけれど、どの国も1、2隻程度で、しかもほとんどが完成すらしていない。イギリスは空母の種類こそ多いけれど、日米の正規空母と較べると所詮は軽空母レベルの搭載力しかなくて、イラストリアス級が入ってはじめて追いつくくらい。

 これを見ても判る通り、ヨーロッパ諸国の人々にとっての海戦のイメージは、第一次大戦のジュットランド海戦のような砲戦なんですよ。実際に向こうの海軍戦史書を並べてみれば、我々日本人が散々苦労したミッドウェー海戦やレイテ沖海戦について記した本に対して、ジュットランド海戦に関しては3倍、4倍の量の戦史書がありますしね。

 つまり、向こうの人間が海戦ゲームに期待する部分は「ジュットランドのような砲戦が再現できるんだ、すげえ!」ってところにあると思うんですよ。

有馬 あー、なるほど。

今後しばらくは、欧州各国のツリーは砲戦メインで、日米のツリーはまんべんなく発展していくのかもしれない(最終的には計画艦などで埋まっていくとしても)

宮永 ヨーロッパのプレイヤーに対しては砲戦というものに対しての分厚さこそが重要になってくると思うし、空母をメインに戦いたいなら日米のツリーを成長させればいいじゃない、って開発チームとしても考えてるんじゃないかと。

 でも、一応は各国にも空母はあったんだから、プレミアム艦、あるいは他艦種からの枝分かれとして、スポット的に登場させればいい、と考えてるんだと思いますよ。

有馬 ドイツを見ても、「グラーフ・ツェッペリン」以降の空母の計画はあるにはあったけれど、ツリーとして成立させるのは難しいでしょうしね。

宮永 日本には「鳳翔」から始まる空母の長い系譜がありますが、欧州のほとんどの国では『ああいう艦があるんだ、じゃあ我々も造ってみよう』って途中から入ってくる感じで空母の系統樹が存在しないし、ドイツのツリーに関しては空母の存在はそれほど重視されてないんじゃないかって気がしますね。

Image from Amazon.co.jp
1/700 独海軍空母 グラーフ・ツェッペリン

赤城、加賀とグラーフ・ツェッペリン級航空母艦が
未登場の理由は火力が強過ぎるから!?

有馬 欧州では砲戦が重視されていると聞きましたけど、「グラーフ・ツェッペリン」は15cm砲を片舷8門も積んでいて、時間当たりの砲力だけ見ると「赤城」の片舷斉射力を上回っちゃうんですよね。搭載機こそ少ないけど、水上砲戦だと「赤城」より強い艦になっちゃう(笑)

宮永 今、日本ツリーに「赤城」がない理由として、「あれは元々巡洋戦艦だから」と言われていますが、私は違うんじゃないかと。「赤城」には空母になった後も20cm砲があるので、駆逐艦が下手に近付くと返り討ちにされてしまう。

 「赤城」と「加賀」に関しては固有火力が強過ぎて、私としては現状の『World of Warships』には合わないんじゃないかと思っているんですよ(笑)

 それに、あの2隻で日本海軍が得た空母技術の経験は貴重ですけど、空母として生まれた経緯は特殊ですよね。だからツリーという概念からは外れている部分もあるかなと思います。

 話を「グラーフ・ツェッペリン」に戻すと、これほとんど巡洋艦ですよね。

Image from Amazon.co.jp
1/700 CH117 日本海軍 航空母艦 赤城 フルハルバージョン

有馬 そう。確かに空母なんだけれど、砲力だけを見ると「軽空母+巡洋艦」のハイブリッド艦、航空巡洋艦と見ることもできます。もしかしたら『World of Warships』の戦場では、意外と強い艦になるかもしれませんよ?

宮永 「赤城」「加賀」を実装した上で、その後に「グラーフ・ツェッペリン」も加えるか、もしくはその逆。この種の、砲力も強い特殊な空母に関しては、このどちらかだと思うんですよ。実際にゲーム上で運用してみて、その反省点を活かす形で次を実装する。そういう順番じゃないかと思いますね。

※グラーフ・ツェッペリン級航空母艦……ドイツ海軍が計画した正規空母。4隻が計画され、そのうち2隻が起工したが、実際に完成したものはなかった。
※ジュットランド海戦……第一次大戦中にイギリス海軍とドイツ海軍の間で行われた歴史的海戦で、ユトランド沖海戦、スカゲラックの戦いとも。この海戦で得た無数の戦訓は、その後の世界の軍艦設計思想を大きく変化させていった。

(次ページでは、「『World of Warships』開発チームは世界の軍艦800種をリストアップ済み!」)

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