ボリュームまるっと暗号化するFileVault
赤の他人には決して見られたくない、見られては困るデータというものがある。あらゆるものがデータ化され、ストレージ機器に記録されている昨今、他人の目には触れさせたくないデータを守る仕組みとして、暗号化の仕組みもモダンなOSには必須の機能となっている。Windowsで言うところのBitLockerに相当する機能として、Mac OS XにはFileVaultと呼ばれる仕組みがある。
ストレージの暗号化は、紛失や盗難の可能生が高いノートPCなどのモバイル機器で特に必要とされるが、室内で固定して用いるのが前提の機器でもユーザーを限定したり、使用後に手放す際の安全性を考慮したりするために、暗号化を必要とするケースもあるだろう。
Drobo 5DをFileVaultで暗号化
今回のように外付けのストレージに適用する際には、Finder上から暗号化を実行する。Finder上で暗号化したいボリュームを右クリック(トラックパッドでは2本指タップ)し、表示されるメニューから「“ドライブ名”を暗号化...」を選択すればいい。
続いて、暗号化ボリュームにアクセスする際に使用するパスワードを作成する。これを忘れてしまうと、ボリューム内にデータがあるのに取り出せないという非常に辛いことになってしまうため、注意しよう。自分で適切なパスワードを決めるのが面倒なユーザー向けに、Mac OS Xではパスワードを生成するオプションも備えている。使用する文字種と長さを指定することで、さまざまな強度のパスワードを生成できる。
暗号化作業の終了を待ち、再起動
パスワードを決めたら、あとは「ディスクを暗号化」をクリックして、しばし待つだけだ。使用容量が多ければ、暗号化に要する時間も長くなる。暗号化が完了したら、Macを再起動してみよう。
暗号化したボリュームをマウントする際に、パスワードを要求されるようになっているはずだ。Finder上でボリュームの情報を確認すると、暗号化されているのを確認できる。同じボリュームをDrobo Dashboardから見てみると、これまで「HFS+」と表示されていたファイルシステムが「CoreStorage」になっているのが分かる。
暗号化で、Droboの速度はどうなる?
Drobo上のボリュームを暗号化することで、転送性能はどの程度変化するかを確認するため、Blackmagic Disk Speed Testを用いて読み書きの速度を測定してみた。これまでの記事でも言及しているが、Droboの転送速度はばらつきが大きく、HDDの台数の増減による一般的な傾向も見られない。これは、Droboがバックグラウンドでさまざまな処理を実施しているためと思われる。
また、今回用いたBlackmagic Disk Speed Testは、そもそもの目的が種々の解像度でのビデオ編集に使える転送速度かどうかを判定するものであり、厳密な転送速度を測定するものではない。値もド派手な動きを見せるアナログメーター上の数字を目視して読み取ったものだ。そのため、以下の数字はざっくりとしたものと考えていただきたい。
読み込みについては、暗号化なしで150~160MB/sec、暗号化した場合が130~150MB/sec程度。一方書き込みについては、暗号化なしが90~130MB/sec、暗号化した場合が80~120MB/secとなった。
このように、暗号化の有無による差は、測定のばらつきによって見えなくなる程度であり、少なくとも「暗号化したら遅くなった」と体感できるほどのものではなかった。今どきのマルチコアCPUならば、実用上、暗号化による性能劣化はほぼ影響がないと言えるだろう。
(次ページ、「Drobo 5DをMacとWindowsで共用する」に続く)
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