クラウド、ネットワーク、デバイスのエンジニアがいよいよ邂逅する
IoTの異才たちがLT18連発!SORACOMのフライデーナイト
やってみた系からIoTへの期待、製品紹介まで怒濤のLT大会
ソラコムからの発表と聴衆との乾杯後に行なわれた怒濤のLT18連発は、5分という短い時間でSORACOMに関するトークを行なうもの。ソラコムお手製のフルスケールTシャツをゲットすべく、IoTデバイスで試したみた系、他のクラウドで使ってみた系、製品・サービス紹介系、SORACOMへの期待など各自が持ちネタを熱く披露した。全LTをレポートするので、ご堪能いただきたい。
手焼きSIMとイベントハンドラ(ソラコム 片山暁雄さん)
トップバッターは元AWS SAの片山暁雄さん。現在はソラコムで、SIMの在庫管理や生産(SIM焼き)、ラベル貼り、検品、受注、発送、解約までを担っており、こうした業務の一切合切をJavaFX+DynamoDBで行なっているという。「世界初のJavaFXでできたMVNEと言ってよい」と片山さんは紹介。SIMに関しては、「専門のSIM職人が一枚ずつ心を込めて手焼きしている」と説明し、会場を爆笑の渦に巻き込む。
本題に移った片山さんはSORACOM上で発生したイベントをトリガに処理を行なう「イベントハンドラ」の機能について説明する。イベントハンドラは、イベント自体を定義する「ルール」とイベントを処理する「アクション」から構成され、一定期間でルールを再評価するという仕組みで成り立っている。これにより、たとえばデータ通信量が100MiBを越えたら速度制限するSIM、3GBを越えたら解約するSIM、データ転送量が増えたら速度を速くするバックアップSIMなどを作れる。イベントの発生に際しては、AWS LambdaでAPIをコールし、解約や速度変更、Webサイトの変更などが行なえばよいと紹介した。
5分でわかるAWS IoT(ADSJ:Amazon Data Services Japan 榎波利晃さん)
PowerPointのトラブルで「このままだとSORACOM Tシャツ披露しただけで終わってしまいますよー」と司会にたしなめられたADSJ榎波利晃さんは、先日発表されたばかりの「AWS IoT」について説明した。
AWS IoTではIoTデバイスのデータをセキュアに送受信し、PUB/SUBモデルのゲートウェイでクラウドに流し込むためのIoT向けサービス。AWSでも従来からIoT向けのサービスは拡充されていたが、要望の多かったMQTTに対応したということで、AWS IoT登場の意義は大きいとアピール。今後、MQTT以外のプロトコルも対応していきたいという。
AWS IoTではデバイス側にメッセージを送ることも可能なほか、TLS1.2による暗号化やAWS IAMと連携も可能。SQLライクなメッセージでルールエンジンを記述し、データの中身を見て、AWSのサービスを呼び出すこともできる。榎波さんが特に強調したのはメッセージブローカーの機能。「今までメッセージブローカーをスケールアウトが難しかった。それをすべてマネージドで提供するので、安心してMQTTをお使いいただける」(榎波さん)。最後SORACOMとの相性は抜群とアピールし、時間切れとなった。
コマンドラインでBeamからAWS IoTへ(ジャストインケース 松井基勝さん)
3番目は元AWSで、現在ジャストインケースという個人事業主となっている松井基勝さん。エンジニア向けの黒い画面でプレゼンを始めた松井さんは、ラズパイのデータをMQTT経由でSORACOM Beamに送り、証明書が付いた段階で、AWS IoT、SNS、SQSに流すという処理をすべてコマンドラインで披露した。
松井さんはThingの作成、証明書の取得、パブリッシュポリシーの作成、アタッチ、グローバルCAファイルの取得までをAWS IoT側で行なったのち、次はSORACOMのCLIでグループ作成、証明書の適用、SIMの割り当てまでを矢継ぎ早に操作。自宅にあるラズパイからMQTT経由で流れたデータが無事にSORACOM Beam、AWS IoT、SNS、SQSまで届くところまでを5分以内でやり抜き、観衆から大きな拍手が沸いた。
デバイス屋が描くIoTの未来像(アットマークテクノ 竹之下航洋さん)
自称「北の大地の組み込みエンジニア」のアットマークテクノの竹之下航洋さんは、IoTゲートウェイ「Armadillo-IoT」の製品企画を担当している。同氏はおもにIoTの事例を披露することで、デバイスメーカーが描くIoTの未来を見せた。
たとえば、Beverage Analysticというイスラエルの会社は、ビアバーでのビールの消費量を把握し、無駄を防ぐIoTソリューションを提供している。タップと樽の間に流量計を仕込み、ビールがどれだけ消費されたかをクラウドで解析。樽を確実に回収するための在庫管理や適切な注入量をバーテンダーに促す機能、プロモーション管理の機能などを提供しているという。こうした機能により、ビアバー製品を売っていた事業者はサービス事業者に変化したという。
その他、竹之下さんはAmazon Dash ButtonやArmadillo-IoTを使った3Dプリンターの予防保守などを披露。今後、IoTの通信は無線が主流になるが、いろいろな方式があるため、ケースバイケースで選ぶべきと持論を披露し、LTを終えた。
SIMの開封からSMS受信までを5分で!(ぷらっとホーム 松下享平さん)
「OpenBlock IoT」の開発に携わるぷらっとホームの松下享平さんは、SIMの開封からSMS受信までを5分でやりきるというLTを披露した。OpenBlock IoTではSORACOMで簡単につながってしまう、なおかつさまざまな「やってみたネタ」があふれる中、5分でやりきるという“肉体芸”でデバイスメーカーの矜持を見せようという趣旨だ。
ゴールはpriori2でのSMS受信。SORACOMアカウントは作成済みで、SMS送信にはTwillioを採用。prioriにはAPN設定済みという条件でスタートした松下さんは、早くもSORACOM SIMの開封やIMSIの番号の手入力でてこずる。「まずい、まずい」を連呼しつつ、アクティベートまでは一気に済ませ、設定済みのAPNを選択する。観衆の手助けで設定を終えて、発信すると、手元のスマホに無事SMSが着信。松下さんは満面の笑顔で、大きな歓声を浴びた。
(次ページ、デバイスの強い県でSORACOMを想う(スカイディスク 橋本司さん))
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