音楽を再生しないと孤独感を味わえる!?
恐るべきノイキャン性能
さっそくその実力を試してみた。まずはプレーヤーを接続せずに単体でノイズキャンセル機能をオンにしてみる。低周波の暗騒音ノイズがスッと消えていくのは、同時に試聴をしたMDR-NW750Nと同じだが、人の声など中音域もかなり減衰するのが大きな違いだ。
とはいっても人の声が聞こえないわけではなく、すぐそばにいるはずの人がいっきに10m近く離れてしまったような感じだ。
この状態のまま会話をするのも少々困難な程度に声が聞き取りにくくなる。なんというか、自分の存在が希薄になってしまったかのような「ぼっち感」が凄い。周囲の雑音や会話から遮断されている感じは、窓の外から家族のにぎやかな団欒を眺めているような、可哀想な童話の主人公の気分に浸れる。
ネガティブすぎる表現になってしまったが、ノイズキャンセル機能は言わば積極的に「ぼっち」になるための道具だから、ポジティブにその性能を受け止めてほしい(ぼっちになるのが怖いタイプの人は精神的な安全のため使わない方がいい)。
周囲の音が遠ざかるだけでここまでの孤独感が得られるというのはちょっと新鮮だ。目を閉じてしまえば孤独を感じることはなく、自分一人の快適なリラックス空間がそこに現れる。
このリラックス感は、微小な音ながら耳に付きやすいノイズキャンセル特有のノイズ感がないこともある。まさに、物理的に静かな場所に居るような自然で落ち着いた静寂感なのだ。
音楽を再生しながらノイキャンを試す!
ノイキャン機能オンのほうが高音質
試聴用にお借りしたNW-ZX2と組み合わせて音楽を聴いてみた。女性ボーカルの豊かな声の質感やニュアンスの豊かな歌い方がよく伝わる。ZX2の音質の良さもあるが、正直なところ2万円ほどのイヤフォンとは思えないほどに情報量が豊かで、滑らかな声や楽器のきめ細やかな音色の変化がよくわかる。
粒立ちがよく、鮮度の高い音を再現するMDR-NW750Nのバランスの良さもかなり優秀だが、ノイズキャンセル機能によってNW-ZX2の持ち味がしっかりと感じられるように感じた。
面白いのは、ノイズキャンセルをオフにしてしまうと、音のディテールが聴こえにくくなるだけでなく、出音の勢いが弱まり元気のない印象になること。ちょうとポタアンを外してしまったような感じだ。
明らかにノイズキャンセルをオンにした状態の方が音質的には好ましい。ノイズキャンセル機能の音質チューニングがよく仕上げられていることがよくわかる。
試聴を終えてイヤフォンを外すと、いつもの場所がこんなに騒がしかったのかと驚く。ノイズキャンセルイヤフォンを使っていることを忘れていたことを思いだし、その自然な静寂感の心地よさを改めて実感した。
音質も含めてこれはなかなかの優れ物。ノイズキャンセルだから絶対的な音量もさほど大きくしないでよい効果もあるので、控えめの音量で使えばバッテリーの保ちもいいし、耳の健康にもいい。毎日の通勤、通学など日常的に使うモデルとしては、かなり重宝するモデルだ。
(次ページに続く、「効果絶大なデュアルマイク方式採用 ノイズキャンセルヘッドホンはこれ!!」)
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