2016年度、クラウドパートナーを3500社に拡大
一方で、2017年度に同社の売上高の50%を、クラウドビジネスで占めるという方針はどうだろうか。
この実現においては、パートナー戦略が重要な鍵を握る。
というのも、現在、マイクロソフトのビジネスの92%がパートナー経由のものであり、クラウドビジネスにおいても、パートナーを通じた販売を主軸に据えることを明らかにしている。つまり、日本マイクロソフトが、クラウドビジネスの構成比を50%にまで高めるという目標の実現には、パートナーによるクラウドビジネスを加速することが必須条件となるのだ。
その観点から見ると、7月になって発表した新たなパートナー施策は、クラウドビジネスの基盤づくりに向けては重要なものといえた。
ひとつは、クウラドパートナーの拡大だ。
2014年度には1500社だったクラウドパートナーを、2015年度には2500社に拡大。これを2016年度は、3500社に拡大する計画を打ち出した。ここでは、ディストリビュータを通じた2次店にも対象を広げるといった量的な拡大だけに留まらず、ISVパートナーやマネージドサービスパートナーといった領域でも新たなパートナーを拡大。上位レイヤーからの販売提案力も拡大していく。
7月1日付けで、ISVビジネス推進本部を20人体制で新設し、ISVに対する情報提供、ソリューションの共同開発などを進めていく体制を整えたのも、同社のパートナー戦略が新たなフェーズへと入ったことを意味する。
CSP(Cloud Solution Provider)プログラムの拡張
そして、もうひとつの見逃せない取り組みが、今年7月に発表したCSP(Cloud Solution Provider)プログラムの拡張である。
CSPは、Office 365やEMS(Enterprise Mobility Suite)をパートナーが再販できる仕組みで、対象をMicrosoft AzureやDynamics CRM Onlineにも拡充。さらに、日本ではこのプログラムに20社が参加して、マイクロソフトが提供するクラウドサービスを再販することになる。
また、ここには、ソフトバンクコマース&サービスとダイワボウ情報システムの2社が参加。これらのディストリビュータを通じて、2次店のサポートメニューやソリューションを組み合わせた展開が可能になる。つまり、日本マイクロソフトのクラウドサービスを自社のサービスとして提供するパートナー企業が一気に拡大することになるのだ。
さらに、同社では、トレーニングやインセンティブ、各種ツールの提供も強化する姿勢をみせる。
平野社長は、「競合他社が直販指向を強める那珂で、日本マイクロソフトは、クラウド時代においてもパートナーを通じたビジネスを重視する。“パートナーをもっとも大切にしているクラウド企業は日本マイクロソフト”といわれることを目指す」とする。
クラウドビジネスで50%を占めるという宣言は、その達成に不可欠なパートナー向けのクラウド戦略が整ったことの証と捉えていいかもしれない。
![](/img/blank.gif)
この連載の記事
-
第215回
PC
「クリエイティブ」に向かうWindows 10とSurfaceファミリー -
第214回
PC
日本企業の変革を象徴、世界最大規模の「Office 365」大型導入 -
第213回
PC
資生堂、オンライン会議中の顔を美しく見せる「Tele Beauty」を開発 -
第212回
PC
女子高生AI“りんな”は母親思いのカープ女子!? 自分の子供より返事が多いというユーザーも -
第211回
PC
Office 365が3ヵ月無料試用OK、セットアップも支援 - 働き方改革週間締め切りは9月30日 -
第210回
PC
Windows 10企業導入の障害は、WaaS(Windows as a Service)と180日ルール -
第209回
PC
アクア、DMG森精機 - IoTの協業発表が相次ぐ日本マイクロソフト -
第208回
PC
MS SQL Server 2016は、オラクルの牙城をいかに崩すか、PostgreSQLにどう対抗していくのか -
第207回
PC
起死回生の製品になるか? 「Microsoft Dynamics 365」 -
第206回
PC
2096名で挑む大規模ライフハック! - 日本マイクロソフトが掲げる”本来”のテレワーク -
第205回
PC
日本MSが開催イベント名称・内容を再編 - グローバルイベントとの名称統合を実現してほしい - この連載の一覧へ