8月10日、日本マイクロソフトはテレワーク施策に関する発表会を開催した。「ワークスタイル変革のリーディングカンパニー」を目指す日本マイクロソフトが651社の賛同法人ともに行なう「テレワーク週間 2015」の開催概要のほか、北海道の別海町と組んだ地方創生テレワークプロジェクトについて説明された。
651もの賛同法人と共にテレワーク推進に取り組む
賛同法人とともにテレワークを推進する日本マイクロソフトの「テレワーク週間」は、「ワークスタイル変革のリーディングカンパニー」を掲げる同社にとっては特に重要な取り組み。今年は8月24日~28日まで実施され、結果は幅広く公開されることになっている。また、官民で構成される「テレワーク推進フォーラム」が推進する11月のテレワーク月間においても、その活動結果が活かさせることになるという。
発表会に登壇した日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏は、人口構成や労働環境が変化する中、今なぜテレワークが注目されるのかを説明。昨年のテレワーク週間のアンケート結果として、「オンライン会議の仕組みがない」「テレワークの制度がない」「さぼりを誘発する」というマイナスイメージや、「紙の書類が多くて事実上無理」といった阻害要因があったという点を紹介した。
日本マイクロソフトは、震災以降テレワークの導入を推進しており、災害対策や生産性向上、ワークライフバランスなどの問題に対応してきた。2014年にはこの取り組みを外部に拡大し、32法人と共同実施。2015年は賛同法人とともに「テレワーク週間 2015」を展開し、テレワークの実践を推進するという。
賛同法人はソニー、ヤフー、伊藤ハム、NTTドコモ、パソナなどの一般企業、大阪市、豊島区などの自治体、日本能率協会や日本テレワーク協会などの社団法人まであわせ、651にのぼる。樋口氏は、「大企業は8%、公共が8%だけで、80%以上は中小企業。半年間、準備してきたが、これだけの反応に私たちもちょっとビックリしている」とコメントした。
人が豊かに生きるためのテレワークとは?
続いて日本政府のテレワーク推進施策を説明したのは、自由民主党テレワーク推進特命委員会で事務局長を務めている衆議院議員の福田達夫氏。福田氏は、安倍総理大臣が先頭に立ち、官民一体での「テレワーク普及推進運動」を進めており、2013年に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」においても、雇用形態の多様化やワークライフバランスの推進が主題に掲げられていると説明した。そして、ここでは2020年までに「テレワークの導入企業を2012年度比3倍にする」「週1日以上の終日在宅労働で終業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上にする」などのKPIを掲げているという。
福田氏が事務局長を務めている自由民主党テレワーク推進特命委員会が昨年まとめた提言では、生産性や労働力の向上より高い優先度として、「人が豊かに生きるためのテレワーク」が掲げられているという。福田氏は「私も十数年間、サラリーマンをやってきました。PCや携帯電話は普及したのに、相も変わらず満員電車で通勤し、山積みの書類の中で仕事をしてきました。大家が厳しく、20時になると容赦なくエアコンが止まったので、夏は暑く、冬はコートを着込んでの仕事でした」と経験談を披露する。
逆に技術の進化により、仕事が休みの日まで追いかけてくることも増えている。「技術は追いかけてくるのに、環境がデッドエンドになっていて、人の豊かさが感じられない社会になりつつある。これを打開するのが、テレワークという生き方なのではないか」と福田氏は指摘した。
福田氏は、仕事場から離れたリーズナブルな住環境で仕事ができる、育児しながら女性が焦りを感じずに働ける、ハンディキャップのある人たちでも自身の才能を活かせる、家族との時間を作り出せる、といったことをテレワークでこそ実現できるとアピール。「日本人は路傍の花を美しいと感じられる国民。テレワークで得られた時間で、日本人の人間性をもう一度生み出す。そして、その中から日本人の価値を生み出せる新しい社会を作るための働き方、考え方がテレワーク推進のキモだと思っている」と説明し、テレワークが単なる働き方の1形態ではなく、日本人の価値の再発見につながるという持論を展開した。
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