毎月10曲までの制約がかえって楽しいmyヒッツ
月額540円コースに「myヒッツ」という機能が付く。これは毎月10曲まで、自分の好きな曲をプレイリストに登録して、なんどでも好きなときに聴ける。ラジオ型でありながら、部分的にオンデマンド型の機能を取り入れたということで、サービス側では「ハイブリッド型」と呼んでいる。
そして登録できる曲は、毎月10曲ずつ増えていく。myヒッツの保存有効期限は6ヵ月に設定されているので、最大でも60曲までということになるのだが、これがなかなかおもしろい。毎月決められた曲数で、なんとかやりくりしようとする、このケチくさい感覚はちょっと懐かしい。
我々のような1960年代生まれ世代は、1970年代にはカセットテープにFM放送を録音して聴いていた。いわゆるエアチェック(死語)だ。
テープに録音できる時間は、最長で90分。毎月のおこづかいで買えるテープの本数にも限りがある。だから、すべての放送を録音して保存しておくわけにもいかない。となると、消したくない曲だけダビングして残し、エアチェック用のテープは上書きして使う、といった工夫が必要になる。
myヒッツは、どうもこの時代の状況の再現に近い気がする。もちろんオンデマンドで好きに聴けたらなんの苦労もないのだが、保存曲数を消費しないよう、いい曲を厳選しようとして無駄に神経を使うのも楽しい(ような気がする)。
このmyヒッツのおかげなのか、dヒッツは2012年7月3日のサービスインから会員数を順調に伸ばし、現在の有料会員数は300万人を超えたと発表されている。ただ、キャリアのコンテンツサービスは、ユーザーが登録したことを忘れているケースがままあるので、実際のアクティブユーザーがどれくらいなのかはわからない。
ところで、会員数といえば。
(次ページでは、「Apple Musicのユーザー数に思うこと」)