クラウド版Exadata、Hadoop/NoSQL環境、MBaaSなど
「Oracle Cloud Platform」PaaS、新サービス追加を国内発表
2015年07月24日 06時00分更新
日本オラクルは7月23日、同社の提供するPaaS「Oracle Cloud Platform」のラインアップ拡充を発表した。「Oracle Database」サービスのExadataオプションや、Hadoop/NoSQL環境など、新たに6つのサービスを追加している。
今回、国内発表されたのは、米オラクルの取締役会経営執行役会長 兼 CTO、ラリー・エリソン氏が6月に発表した24種類以上の新サービスのうちの主要サービス6つ。うち5つがPaaSレイヤー、1つがIaaSレイヤーの新サービスとなる。
各新サービスの特徴は次のとおり(詳細は関連記事を参照のこと)。
・「Oracle Database Cloud - Exadata Service」:すでに提供中の「Oracle Database Cloud Service」のExadataオプション。Exadataの強力な性能をベースとしたOracle DBを、クラウドサービスとして利用できる。
・「Oracle Big Data Cloud Service」:Hadoop/NoSQLワークロードの実行環境を提供する。「Big Data SQL Cloud Service」を組み合わせることで、SQLを通じてHadoop/NoSQLデータベースを操作可能になる。
・「Oracle Integration Cloud Service」:他社アプリケーションも含むオンプレミス/クラウド環境の各種アプリケーションやSaaSをつなぐ、幅広いアプリケーション間連携機能をシンプルに提供するサービス。
・「Oracle Mobile Cloud Service」:リッチなモバイルアプリ向けプラットフォームを提供するMBaaS(Mobile Backend as a Service。
・「Oracle Process Cloud Service」:ビジネスユーザー向けのビジネスプロセス管理サービス。
・「Oracle Process Cloud Service」:アクセス頻度の少ない大容量データを長期間、低コストで保存するためのストレージサービス。企業利用を想定したSLAが設定されており、業界標準のAPIを通じてデータへのアクセスが可能。
なお、各クラウドサービスのベースとなっている技術/アーキテクチャはオラクルのオンプレミス製品と同一であるため、オンプレミスからのクラウド移行や、ハイブリッドクラウド環境の構築が容易である点も大きな特徴となっている。
また、顧客がオンプレミスライセンスを保有している場合の、Cloud Platformにおける取り扱いについては、「ライセンス移行については現在検討中」としている。
従来型の「System of Record」アプリにも強いクラウド基盤を
同日の発表会で、日本オラクル社長兼CEOの杉原博茂氏は、オラクルのクラウドビジネスが急成長していることを強調した。最新四半期(2015年度第4四半期)のクラウド新規受注金額(SaaS+PaaS)を見ると、グローバルでは対前年比200%の増加、また日本では対前年比440%の増加を記録している。また、2015年度のPaaSビジネスの新規獲得顧客数はグローバルで1419社、累計で1800社に達した。
さらに杉原氏は、オラクルPaaSの活用によって、たとえばオンプレミスでは90ステップ/5~6週間かかる規模のシステム構築作業が、5ステップ/30分程度で済むと説明。「これがクラウドの力。現在のデータセンターはそのまま置きながらも、攻撃型のIT、“攻めの経営のためのIT”にこうしたクラウドをお使いいただける」と述べた。
同社副社長 クラウド・テクノロジー事業統括の三澤智光氏は、現在のクラウド市場においては、SNSやIoTなどのつながりや連携を重視した「System of Engagement(SoE)」アプリケーション向けのサービスが強化される一方で、ERPやCRMなどの定型処理や規則を重視する従来型の「System of Record(SoR)」アプリケーションが軽視される傾向にあるのではないかと指摘。オラクルでは、従来の技術資産も引き継ぎながらSoRとSoEの両方を重要視し、SoR/SoEに完全に対応したパブリッククラウドを、SaaS/PaaS/IaaSの全レイヤーで提供していく方針だと説明した。
なお日本オラクルでは、2016年度から「PaaS事業推進室」を新たに立ち上げている。発表会に出席した同推進室 室長の竹爪慎治氏は、顧客向け、ISV向け、パートナー向けそれぞれに取り組みを開始していることを紹介した。