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レンタル電動バイクをIoTで監視する商用サービス基盤を「2週間たらず」で実装

オラクルがIoTとビッグデータ領域へPaaS拡充、国内事例も紹介

2016年04月27日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本オラクルは4月26日、同社のPaaS「Oracle Cloud Platform」において、IoTおよびビッグデータ領域のソリューションを発表した。発表会にはソフトバンクグループのPSソリューションズも出席し、同社が3月から提供している電動バイクレンタルサービス「瀬戸内カレン」のサービス提供基盤を「2週間たらずで」実装した事例が紹介された。

PSソリューションズが瀬戸内海に浮かぶ“芸術の島”、豊島(てしま)で展開する電動バイクレンタルサービス「瀬戸内カレン」(画像はWebサイトより)

日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 担当ディレクターの杉達也氏

IoT Cloud Serviceの導入事例を紹介したソフトバンク/PSソリューションズの山口典男氏

 今回発表されたのは、クラウド型でIoTの活用基盤を提供する「Oracle Internet of Things(IoT) Cloud Service」と、ビッグデータの取得/管理/分析プラットフォームを提供する「Oracle Big Data Cloud Service」などのサービス。

 IoT Cloud Serviceは、さまざまなIoTデバイスとセキュアに接続するゲートウェイと、フロント処理(デバイス管理、データストリーム処理)の機能などを提供するサービス。「Oracle E-Business Suite」などのオラクル製アプリケーション、サードパーティ製アプリケーションなど既存の業務プロセスと連携させることで、IoTデバイスから得た情報を広範に活用できる。

 日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括の杉達也氏は、IoT Cloud Seriviceは「コードを書いて『開発』するのではなく『設定していく』感じでひととおりのことができる」点が特徴だと、他社の提供するIoT向けPaaSと比較した場合の特徴を説明した。

Oracle IoT Cloud Service(左)から得た情報を、アプリケーションやデータベース、ビッグデータ基盤でリアルタイムに処理。逆にアプリケーション側からのデバイス制御にも用いることができる

IoT Cloud Serviceと他のアプリケーションを連携することで、さまざまなデータ活用が可能

 一方、ビッグデータ領域では複数のサービスが追加されている。

 Big Data Cloud Serviceおよび「Big Data Cloud SQL Service」では、企業がHadoopおよびNoSQLデータベース上のさまざまなワークロードを実行するための、高性能でセキュアなプラットフォームを提供する。

 「Big Data Preparation Cloud Service」は、「Apache Spark」ベースの機械学習や自然言語処理などのテクノロジーを統合し、データ準備のプロセスにかかる時間とコストを大幅に削減するサービス。データの取り込みや準備、修復、強化、ガバナンスなど、エラーが生じがちなプロセスを自動化/合理化/ガイドする。また「Big Data Discovery Cloud Service」は、ビッグデータ分析 におけるデータ探索、データ加工を、高速かつ容易に実行可能にする。

「Big Data Preparation Cloud Service」各サービスの位置付け

「ちょっとしたサービス向上のアイデアを、非常に速いスピードで実装できる」

 冒頭に紹介したソフトバンクと同社グループのPSソリューションズの「瀬戸内カレン」では、サービス提供基盤としてオラクルのIoT Cloud Serviceを採用している。オラクルの発表会に出席したソフトバンク/PSソリューションズの山口典男氏が、サービス基盤の構築においてオラクルのIoT Cloud Serviceがどう使われたのかを説明した。

 瀬戸内カレンでは、豊島を訪れた観光客に電動バイクをレンタルするサービスを提供している。このサービスで、貸し出したバイクの監視や管理を行うアプリケーションが、IoT Cloud Serviceや「Java Cloud Serivice」「Database Cloud Service」で構築されている。

システム構成

 電動バイクには通信デバイスを搭載しており、バイクの位置情報や充電残量などのデータをリアルタイムに発信している。サービス提供側の管理コンソールでは、貸し出したバイクが島内のどこにいるか、電池残量がどれだけあるかといった情報がリアルタイムにモニタリングできる仕組みだ。

 このシステムを使って、さまざまなユーザーサービスを展開していると山口氏は説明する。

 「豊島には宿泊施設が少ないため、1日遊んで夜のフェリーで帰るという観光客がほとんど。しかし、遠くまでバイクで行ってしまうと、最終便に間に合わない可能性がある。また電動バイクなので、あまり走り回るとバッテリ切れで帰ってこれなくなることもある。そこで、バイクの現在位置や充電残量から計算して『帰りの船に間に合わなくなるよ』『そっちに行くとバッテリが足りなくなるよ』と警告するサービスが可能になった」(山口氏)

瀬戸内カレンで利用している、バイク監視/管理のためのダッシュボード

現在位置(マップ下の赤い印)と現在の充電残量、さらに島内の高低差も踏まえ、移動しても大丈夫なエリアを黄色で表示(黄色が薄くなるほどバッテリ切れになる可能性が高い)

 このシステムは2週間足らずで実装され、サービス展開されたという。「最初に伝えた内容(要件)が、2週間後にはモノ(実装されたシステム)として出てきた。さらに、打ち合わせでコメントするたびに、次に会ったときにはそれが反映されたモノができていた。あっという間に、われわれの商用システムが動いてしまった」(山口氏)。

商用サービスで利用するバイク管理システムが、2週間で出来上がった。このスピード感は、山口氏にとって「感動的」だったという

 山口氏がオラクルPaaSの中で気に入っている機能は、前述した位置情報と充電残量、島の高低差などから「港への帰着時間」「残バッテリでの走行可能距離」をリアルタイムに算出、可視化する仕組みを容易に実装できる「ビジュアル・ジオストリーミング」だという。

 「こういったちょっとした発想、サービス品質向上のためのアイデアを、非常に速いスピードで実装できたのは、われわれも非常に驚いた。オラクルPaaSに対して非常に良い印象を持っている」(山口氏)

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