四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第143回
エイプリルフールに本気を出した2つの会社
ダジャレの裏で日本にしかない技術あり、コルグ「チュナ缶」のこだわりとは
2015年06月06日 12時00分更新
開けると切り口が丸まる蓋
―― 谷啓さん側では、エイプリルフールの企画全体はおうかがいになっていましたか?
渡辺 いいえ、全体の話は聞いていないです。最初は何か電子部品が入るんだろうと思っていたんですが、チューナーが入るんだということで。
―― 後からダジャレだったことに気付いたと。
谷内 でもよくできてますよね、このデザインも。ベトナムの人はがんばってるよね。
―― チュナ缶はベトナムで作っているんですか?
杉原 チューナーを作っているところがベトナムなので、たまたまうまくいった感じです。
谷内 蓋だけうちで作って、向こうに送ってね。
―― それで向こうの工場ではめ合わせるんですね。
谷内 そうそう、自分のところで缶を作っている工場だったら、自分のところでできるわけね。
―― 僕はダブルセーフティープルトップ缶の実物を初めて見るんですが、これは一体どうなっているんですか?
谷内 まず開けてみてくださいよ。
―― じゃ、もったいないですが(パカ)っと。あ、開けるとホントに切り口が丸まるんですね。切り口はツルツルしていて痛くない。一体、どうなってるんですかこれ。
谷内 いまひっぱったでしょ? その引っ張る力で丸まるの。
渡辺 断面はこんな風になっています。
―― 図解をこちらにうかがう前に見てきたんですが、さっぱりわからなかったです。開けてもまだ全然わかりません。
谷内 そうねえ。世界中で開発しようとしていたけど、うちだけが残っちゃったんだね。まねしてもできないんだ。
―― これはプレスする技なわけですよね?
谷内 そう。プレスでね。まあ、簡単なんですよ。
―― いやぁ、これはすんごい難しいでしょ。
谷内 ははははは。この形は思いついても、それを金型で実現するというのは大変だったんですよ。
(次回は谷啓製作所のユニークな技術に迫ります)
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ
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