四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第143回
エイプリルフールに本気を出した2つの会社
ダジャレの裏で日本にしかない技術あり、コルグ「チュナ缶」のこだわりとは
2015年06月06日 12時00分更新
あなたは覚えているだろうか。SNS時代に入って、年々うざい感じになってきた今年のエイプリルフールに、あの会社がこんなネタを放ったことを。
チュ、チュナ缶って……。
それにしても、わざわざラベルを貼った缶まで用意するこの周到さ。しかも、自社の看板商品を使ってダジャレ! 他社がやらないことを全力で取り組む、この会社の姿勢そのものじゃないですか。いや、お疲れ様! また来年!
と、受け流した1週間後に、チュナ缶が本当に発売されるというリリースが流れてきて、またびっくり(関連記事)。冗談と見せかけて、実際にモノを用意していたのだ。前から思っていたけど、やっぱどうかしてるぞ、このメーカー。
担当編集からも速攻で「これってネタだったんじゃ?」と確認が入ったので、こちらも応戦すべくコルグさんにチュナ缶の貸出要請をかけてもらったのだが、それで判明した事実に、またまたびっくり。
実はこの缶、ただの缶ではないのだ!
チューナーをしまう入れ物として使ってもらうため、蓋を開けた切り口で怪我をしないダブルセーフティープルトップ缶だったのである。そして、このプルトップの製造を請け負ったのが、ダブルセーフティープルトップ缶を世界で初めて開発した、知る人ぞ知る大田区の町工場「谷啓製作所」だったのだ。
世界初の針式チューナーメーカーと、世界初のダブルセーフティープルトップ缶メーカーの、超エクストリームなコラボは、いかにして実現したのか。そんなわけで我々は大田区の西糀谷(にしこうじや)、いわゆる「羽田」へ向かったのである。
(次ページでは、「あの有名アーティストの缶も作っていた」)

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