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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第303回

ZenとK12で競争力を維持 AMDプロセッサーロードマップ

2015年05月11日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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14nmプロセスのZenコアは
実行命令数が40%向上

 さて、ここからはFinancial Analyst DayにおけるCTOのMark Papermaster氏のプレゼンテーションを見てみたい。

 まずZENコアであるが、こちらはFinFETをターゲットとしたプロセッサーであることが明言された。つまり、GlobalFoundriesの14LPEか14LPPが考えられることになる。

x86系の次世代コアであるZENの概要

 どちらかというのは現時点では不明であるが、時期的には14LPPでも不思議ではない。またHigh-Bandwidth, Low Latency Cache Systemとは、K7以降で長らく採用されてきたExclusive Cache(Victim Cache)の構成を捨て、Inclusive Cacheを採用することのようだ。

 またIPC(instructions per clock:クロック周波数あたりの実行命令数)に関しては、Excavatorコアと比較して40%の改善があるとしている。

クロック周波数あたりの実行命令数は、Excavatorコアより40%向上しているという

 実のところBulldozer~Piledriverの構成では、デコーダーは4命令/サイクルとしながらも2コアでデコーダーが共有だったので実質2命令/サイクル未満の効率だった。Steamrollerではデコーダーそのものは分離したものの、実質2命令/サイクル程度のデコーダーだったため性能面での改善はほとんどなかった。

 ZenではSMT(Simultaneous Multithreading)をサポートする構成になっているため、最低でも3命令/サイクル。実際にはSMTをサポートするオーバーヘッドを考えると、4命令/サイクル程度のデコーダーと最低でも3つの整数ALU、Load/Storeユニットが2つ以上は含まれる、それなりに重厚なコアになるだろう。

 もっともこれはかつてのK7~K10の世代では結構なエリアサイズになるだろうが、14nmプロセスならば大したエリアサイズにはならない。K12も4命令/サイクルのCPUになるとされているから、少なくともこれと同等以上の規模になることは間違いなさそうだ。

 そのK12はまだ詳細は明らかにはされていない。ただ、以前ARMの関係者に「Cortex-A72はなぜ4命令のOut-of-Order構成にしなかったのか」と尋ねたところ「AMDやBroadcomはそういう構成だが、我々は3命令のままで性能を改善できる」という返事が返ってきたあたり、少なくとも4命令/サイクルの構成であることは間違いなさそうだ。

ARM系コアのK12は、まだ詳細が明らかになっていない

Kaveri-Refreshこと
Godavariを投入予定

 Zenコアに関する発表はこの程度であるのだが、以下若干の余談をお届けしよう。Finantial Analyst Dayにあわせて、AMDはCarrizo/Carrizo-Lを発表した(関連記事)。

 こちらはモバイル向けということで、おそらくA8-7410/A6-7310/A4-7210がCarrizo、E2-7110/E1-7010がCarrizo-Lと思われるが、これに続きCOMPUTEXの前後にKaveri-RefreshことGodavariを投入する予定だ。

 いくつかのニュースサイトがすでにGodavariのラインナップを報じている(例えばWCCF Tech)が、AMD自身がこれの一部を公式に明らかにしている。

 やはりFinancial Analyst DayにおけるCEOのLisa Su氏の“COMPUTING AND GRAPHICS BUSINESS”というスライドの一部で、今年のAMDの製品も競争力はまだ維持していると紹介しているのだが、ここで“Core i5と比較して40%以上グラフィックが高速”としている製品が、AMD A10-8700Pであった。

2015年のAMD製品は競争力を維持しているとCEOのLisa Su氏は語った

AMD A10-8700PはCore i5と比較して40%以上グラフィックが高速と記されている

 GPUコアはRadeon R6 graphicsだそうで、微妙にWCCF Techのスライドとはあってないのだが、型番的にはGodavari世代のものであろう。

 このスライドにはAMD FX-8800Pという製品もあるが、これはCarrizoベースのモバイル向けAPUのようで、3DMarkの結果からすると定格1.7GHz/最大2.1GHzであり、GPUのCU(Compute Unit)数は8つ(つまりシェーダ数は512)と思われる。これらの製品の詳細はCOMPUTEXのタイミングで明らかになると思われる。

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