出力60Wで3kgしかないヘッドアンプ
―― ずいぶん低い電圧で動くんですね。アンプが20Vなのは、パワーアンプに電圧がいるからですか?
三尾 それは最終的な調整で上げました。パワーアンプはバルブリアクターを使っています。
―― バルブリアクターというのは何ですか?
三尾 実際の真空管パワーアンプ、出力トランス、スピーカー、電源などで起こる挙動をトランジスタもしくはD級のアンプと小型の真空管で再現する方法です。
―― DSPではなく?
遠山 いえいえ、アナログ的に。真空管アンプはパワートランスを使って、ある程度のインピーダンスを持って音が鳴っているんですが、その状態を再現するための回路です。
三尾 VOXのValvetronixシリーズのようなデジタル系アンプなどのパワーアンプに使っている技術です※1。三枝が開発したものです。
※1 Valvetronixシリーズの他、VOX AC30VR、AC15VRにも搭載されている。型番のVRは"Valve Reactor"から取ったもの。
―― 三枝さんは色々やってらっしゃるんですね。
三枝 (にっこり)
―― この大きさで60Wも出るんですよね。
三尾 よくご存知ですね。
―― NAMMショーのプレゼンで森川さんがそうおっしゃっていました。
三尾 そうなんです、これは60W出ます。もっと出そうと思えば出せます。
―― あと重さも3kgしかないとか。
三尾 持ってみますか?
―― おおっ、ほんとに軽いですねこれ。片手で楽に持てるし※2。
※2 50Wクラスのヘッドアンプの重さは通常12kgから17kg程度で片手で持つのは苦行。
(次ページでは、「最終的にはどれくらい小さく、軽く作れるのか?」)

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