「日本企業はもっと技術者のコミュニティ活動を支援すべき」「MS以外の技術との交流も」
開催迫る!GoAzure 2015への熱い想いをマイクロソフトに聞いた
2015年01月06日 06時00分更新
マイクロソフトのテクノロジーは「選択肢の1つ」にすぎない
――今回のGoAzureでは、RubyやPHP、Javaといった、マイクロソフト「以外」のテクノロジーのセッションもあります。マイクロソフトにとって、そうしたテクノロジーを取り上げる意義とは何でしょうか。
ロビンス:開発者を支援するという観点で考えると、今ではもう「マイクロソフトのテクノロジーだけを知り、開発すればすべて事足りる」とは言えなくなっています。開発者にとって、マイクロソフトのテクノロジーはたくさんある選択肢の1つなのです。
そこでマイクロソフトでは、「あらゆる」開発者とのリレーションシップに取り組んでいます。ほかのテクノロジーをベースとする開発者にも、マイクロソフトのテクノロジーを選択肢の1つとしてよく理解してほしいわけです。
GoAzureのセッションやハッカソンでは、RubyのMatz(まつもとゆきひろ)さんやPHPの新原雅司さんなど、さまざまな開発言語の第一人者の方にも参加していただきます。どんな言語を使っている方でも、疎外された気持ちにならずに参加できると思いますよ。
――過去と比べると、マイクロソフトもずいぶん寛容になった気がします(笑)。何が変わったんでしょうか。
ロビンス:個人的には、サティア・ナデラがCEOに就任したことが大きいと思います。彼は「オープンさ」に関する大きなビジョンをマイクロソフトにもたらしました。これまでのやり方にとらわれず、より幅広い開発者とのリレーションを築いていく。新たな開発者が加わることで、マイクロソフトエクスペリエンスにさらなる広がりが生まれます。
もう1つメリットがあります。かつては.NETやC++といったテクノロジーを使う開発者のフィードバックだけを聞いていたのが、より幅広い開発者から意見を集め、製品開発や改良に役立てられるようになりました。
伊藤:マイクロソフトではこれまで何年も、オープンソース(OSS)やLinuxへの取り組みを行ってきました。急に方針転換したわけではないですよ(笑)。ただ、幹部が表立ってはそういう方針を語ってこなかった。最近になり、CEOのナデラが「MS Loves OSS」「MS Loves Linux」と明確な方針を打ち出したことで、OSSコミュニティへの参加など、われわれの活動がさらにやりやすくなったのは事実です。
マイクロソフト「以外」の技術コミュニティにも参加していきたい
――コミュニティを支援する取り組みは、他のベンダーでも活発になっていると感じます。そうした中で「マイクロソフトならでは」の特色はどこにあるんでしょうか。
伊藤:歴史、実績は大きいと思います。長い間、マイクロソフトはプロフェッショナルコミュニティに支えられてきました。そして、そこから優れた技術者を選出、表彰する「Microsoft MVP(Most Valuable Professional)プログラム」のような仕組みも持っています。
ただ、あくまでもそれは「今までの」マイクロソフトです。次にやるべきことはGo Out、つまり外部のコミュニティに参加させていただき、そこでエンゲージしていくことですね。
――ということは、GoAzureに限らず、今後も幅広い技術者コミュニティやイベントに参加し、支援していく方針でしょうか。
ロビンス:積極的にやっていきたいですね。もちろん、従来からのコミュニティやイベントも積極的にやっていきますが。
現在の開発者が選択肢と捉えているテクノロジー、たとえばiOSやAndroid、AWS(Amazon Web Services)などは、市場で競合するものであっても技術的な交流が欠かせないと思います。“マイクロソフト+○○○”という組み合わせには、大きな可能性を感じますしね。
伊藤:わたしの部門には30数名のテクニカルエバンジェリストがいますが、今では彼らもAndroidやiOSといった新しいプラットフォームの技術を学んでいます。それを通じて、顧客である技術者の皆さんにとっての「解」を探ろうとしているわけです。
他社のテクノロジーであれ、技術を追求していくうえではもはや「競合」ではないと思います。これからも幅広いコミュニティに参加させていただき、現場の皆さんの声を聞きたいと考えています。
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