日本マイクロソフト(日本MS)は12月4日、「待ったなし、Windows Server 2003移行」キャンペーンの発表を行った。経済産業省や商工会議所、パートナー企業などの協力も受け、12月初旬から全国各地でセミナーを開催するなど、告知活動をさらに強化する。サポート終了までに国内の稼働台数を「5万台」まで削減することを目標に掲げた。
2014年末は推定21万台が稼働、7月までに5万台を目指す
Windows Server 2003(および2003 R2)は、2015年7月15日(日本時間)をもってサポート終了となる。マイクロソフトでは、今年1月から告知やキャンペーン、サポート窓口の提供を通じて、サポート終了までに新プラットフォーム(Windows Server 2012 R2やMicrosoft Azure)へ移行するよう呼びかけてきた(関連記事1、2)。
発表会に出席した日本マイクロソフト社長の樋口泰行氏は、国内におけるWindows Server 2003の稼働台数が、2014年末段階で21万台(IDC調査による推定、物理サーバー台数)になると説明した。これを、7月のサポート終了時には「約5万台」まで削減するのが目標だという。
「2013年末の推定36万台から21万台まで、1年間で15万台の移行が済んだ。しかし、5万台という目標に到達するには、さらに(2015年1月~7月に)16万台の移行を進めねばならない。明らかに取り組みを拡大しなければならない」(樋口氏)
新プラットフォーム移行の障壁は「経営者の無理解」など
前述のとおり、マイクロソフトではこれまでも移行を呼びかけ、さまざまな支援策を展開してきた。パートナーであるSIベンダーとも連携を図っており、各社が「移行支援パッケージ」を提供しているほか、パートナーエンジニア1万5000名に対する移行トレーニングも完了していると、樋口氏は紹介した。
すでに顧客の移行要請に応えられる体制は整っていると言えるが、それでは移行の障壁となっているものは何なのか。
樋口氏は、MM総研によるWindows Server 2003保有企業への調査データから、移行計画と移行の阻害要因を説明した。移行の検討が進んでいないのは中小企業(250名以下)層が多く、検討と移行が進まない原因の“トップ3”は「予算の確保、経営層の理解」「社内の人手不足」「アプリケーションの動作検証」だという。
「待ったなし」で全国キャンペーン展開
こうした結果をふまえ、マイクロソフトでは「待ったなし、Windows Server 2003移行」キャンペーンを実施する。経済産業省や日本商工会議所とも協力を図り、3大都市圏以外の地域も含め、中小企業の経営層をターゲットとしてサポート終了の認知促進を図る。
具体的には、地方紙などを活用した告知活動強化のほか、12月初旬から全国20カ所で、経済産業省やITコーディネータ協会、商工会議所の協力も得て、移行の必要性や方法を説明するセミナーを開催していく。
また、Windows Server 2012 R2とCALのボリュームライセンス価格を10%割引で販売する「待ったなし乗り換えキャンペーン」を、今年度末(2015年3月末日)までの期間限定で展開する。
「移行促進の取り組みを地方へも拡大していく。経産省や各地の商工会議所などとも協力し、中堅中小企業の経営層への認知を促進する」(樋口氏)
「2段階での移行」推奨、国の企業助成制度も積極活用を
続いて登壇した日本マイクロソフト 執行役 常務 ゼネラルビジネス担当の高橋明宏氏は、あらためて調査データから「移行の阻害要因」を挙げ、「パートナーにご相談いただければ、ほとんどの(IT予算以外の)課題は解決できる」と強調した。
また移行先のプラットフォームとして、現在ではAzureなどのクラウドサービスも考えられるが、「クラウドを組み合わせた移行を検討し始めると、どうしても時間(リードタイム)がかかってしまう」と指摘。年度末の3月やサポート終了間際の6月には移行依頼が殺到し、パートナーの人的リソースが枯渇してしまう可能性もふまえて、「2段階での移行」を推奨したいと述べた。
具体的には、3月までの第1段階で、割引キャンペーンも活用しながら新しいハードウェア/ライセンスへの移行を行う。その後6月までの期間(第2段階)で、クラウドを組み合わせたシステムの導入へと進めるというものだ。
また、ゲストとして発表会に出席した経済産業省 商務情報政務局 情報セキュリティ政策室長の上村昌博氏は、セキュリティ対策の側面から、移行は「待ったなし」であると述べ、国が展開する税制や融資の制度も活用して「計画的な移行を実施していただきたい」と強調した。