Active Directoryが危ない!日本マイクロソフトがサポート終了に関する説明会
3ヶ月での移行事例も!Windows Server 2003サポート終了間近
2015年04月10日 06時00分更新
4月9日、日本マイクロソフトはWindows Server 2003サポート終了に関する記者説明会を開催した。発表会では、現在14万台あるWindows Server 2003のサーバーを7月15日のサポート終了までに5万台に削減するという目標が披露されたほか、3ヶ月での移行に成功したユーザー事例やセキュリティリスクについて説明が行なわれた。
12年2ヶ月におよぶサポートがいよいよ終了
発表会の冒頭、登壇した日本マイクロソフト 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長の佐藤久氏は、昨年サポートが終了したWindows XPの対応が成功裏に終了したという認識をアピール。「社内的には大成功したすばらしいサポート終了の対応ができ、グローバルではベストプラクティスとなっているくらい。メディア様のおかげで、十分な告知活動ができた」とメディアに謝辞を述べた。
そして、今年はWindows Server 2003のサポート終了が約3ヶ月後の7月15日(日本時間)と迫った。5年のメインストリームサポートを2年2ヶ月延長したWindows Server 2003は、12年2ヶ月の長きに渡ってサポートを提供してきた。しかし、もはや待ったなしということで、ついに延長サポートを含めて、終了することになる。
佐藤氏によると、2013年末に36万台(推定)あったWindows Server 2003のサーバーは、2014年末までに約21万台に削減したという。これをサポート終了の7月までに約5万台にまで減らすのが日本マイクロソフトの目論見だ。とはいえ、「残っているサーバーのかなりは地方。しかも、メッセージが経営者層に届いていなかった」(佐藤氏)とのことで、地方新聞6紙(約450万部)に告知広告を行なったほか、地方TV局の27の情報番組でも取り上げてもらったという。さらに全国20箇所でセミナーを開催しており、これまで400名近くが参加済みとのこと。
3ヶ月での移行を実現した片倉チッカリン
こうした移行の流れを受け、約3ヶ月でWindows Server 2003からの移行を実現したのが、有機肥料や化粧品原料の製造・販売を手がける片倉チッカリンだ。発表会では、片倉チッカリン 業務システム室 室長補佐の岸英幸氏が2003からの移行について講演した。
今年で創業95年目を向ける片倉チッカリンは、COBOLで開発したオフコンベースの基幹システムを2013年9月にオープンシステムのパッケージに移行した。しかし、移行にマンパワーをとられた関係で、オフコン上の年次処理の帳票システムとDWH(データウェアハウス)用のサーバーが手つかずだった。「とはいえ、いつまでも使い続けることができない。そのため、帳票システムとDWHのサーバーを仮想化を使って1台に集約することを考えた」(岸氏)という。
しかし、仮想化の導入自体が初めてで、性能面での不安があったのも事実。しかも、エンドユーザーの利便性を考え、DWHの項目を見直したことでデータ量が増大。「エンドユーザーに要望に応じ、項目を見直したことで、項目数が以前の10倍に拡大。さらに対象範囲を肥料事業のみならず、全業務に拡大したので、データ量は非常に大きくなった。Hyper-Vの性能や実績は知っていたが、仮想化して性能面で大丈夫かという不安はあった」と岸氏は吐露する。
しかし、テスト環境で動かしたところ、仮想化環境でも高速に動き、パフォーマンス的に問題がないことを確認。これにより、本番では夜間バッチでやっていた更新処理を1日3回に増やし、リアルタイム性を向上させることも可能になった。さらに従来サーバーごとに磁気テープでとっていたバックアップを刷新すべく、Windows Storage Serverをベースとしたディスクバックアップを導入。運用管理面でも大きな改善を施すことができたという。
岸氏は「実質3ヶ月で導入、運用まで実現できた。だから、がんばれば今からでも移行できる」とアピール。今後はDominoベースのグループウェアサーバーOffice 365に移行し、レガシーITからの脱却を一層加速させる。その上で岸氏は、「今回わかったのはユーザーにサービスがきちんと届くのであれば、サーバーはどこにあっても関係ないということ」とまとめ、Microsoft Azureの導入も検討していくことを明らかにした。
なぜ移行しない?仮想化は延命対策にあらず
壇上に戻った佐藤氏は、移行を検討する企業の動向について説明した。日本マイクロソフトによると、サポート終了日までに移行を終了させる企業は4割に過ぎず、2016年以降までに移行計画がある会社と未定の会社が6割を占めるという。4月以降に移行する理由としては、予算的な制約が約6割で、マイナンバー法への対応に合わせるというのが約3割となっている。
一方で移行しないという声もある。移行しない理由は「(延命対策を含む)運用の工夫で対応できるという」というのが47.9%を占め、半分近くのユーザーが社内の工夫で十分という認識を持っていることがわかった。その他は「漏えいして困る情報がない」が20.4%で、5%はそもそも「社内にあるサーバー自体を把握していない」という。
さらに延命に活用するサービスとしては、「セキュリティソフト」のほか、「仮想化」も多い。これに対して佐藤氏は、「仮想化すれば、使い続けられるという間違った認識を持たれたお客様が多い」と指摘する。
(次ページ、JPCERT/CCが語る2003のセキュリティリスク)