「OS移行を『前向きな取り組み』に」とアピール、第一生命の事例も紹介
サポート終了まであと1年!MSがServer 2003の移行支援を加速
2014年07月09日 06時00分更新
日本マイクロソフトは7月8日、1年後の2015年7月15日(日本時間)にサポート終了を控えたWindows Server 2003の移行対策状況を説明した。顧客のサーバー移行を支援する新たな販売キャンペーンも開始し、現在、国内稼働サーバーの約30%を占めるWindows Server 2003機を、サポート終了までに「2%台」まで削減していく目標を明らかにした。
サポート終了までに「国内稼働台数を5万台以下に」、購入支援策も
2003年5月に発売されたWindows Server 2003は、すでに7年2カ月のメインストリームサポート期間を終え、現在は延長サポート期間にある。そして、延長サポートが終了する来年7月15日以降は、セキュリティアップデートを含むすべてのアップデートが提供されなくなる(Windows Server 2003 R2も同様)。これにより、セキュリティリスクの増大、最新の仮想化技術や周辺機器への不適合によるTCO(総所有コスト)の増大などが懸念される。
Server 2003からのサーバー移行を促進するため、マイクロソフトでは今年1月に「サーバー移行支援強化期間」のキックオフを宣言(関連記事)。全国のパートナー企業とともに、Server 2003を利用中の企業におけるサーバー移行を支援していく方針を示している。
日本マイクロソフト 執行役 専務 マーケティング&オペレーションズ担当の平野拓也氏は、この半年間の取り組みを通じてサポート終了に対する顧客の認知や対策が進み、国内で稼働するWindows Server 2003サーバーは36万台から30万台(IDCシェア調査に基づく推計)まで削減できたと紹介した。
同社 サーバー プラットフォーム ビジネス本部 業務執行役員 本部長の佐藤久氏も、サーバー移行検討状況の調査結果から「(サポート終了の)認知は進んでいる」と述べた。昨年6月と今年6月の調査を比較して、「新しいWindows Serverへ移行する」と回答したServer 2003ユーザーは48%から66%へと大きく増えている。
サーバー移行の具体的な動きは、これからさらに加速していく見込みだ。この半年間で、SIベンダーなど同社パートナーのエンジニア1万3000人に対する移行トレーニングが終了し、100社以上のパートナーがサーバー移行ソリューションを完成している。
またマイクロソフトは同日、サーバー移行を考えるユーザーを対象とした2つの購入支援策を追加した。すべての企業、医療機関、公共機関を対象に、サーバー調達と導入を今年度内に終了し、来年度予算で費用支払いを可能にする優遇金利での「サーバー購入支援キャンペーン」と、中堅中小企業向けにWindows Server 2012 R2およびCALを割引販売する「移行促進キャンペーン」だ。
さらにマイクロソフトでは、移行に関する情報をまとめた「Windows Server 2003 移行ポータル」や移行相談電話窓口の開設、移行の要点をまとめたガイドブックの配布などを行っている。
佐藤氏は、1年後のサポート終了までに、国内稼働サーバー(x86)におけるServer 2003の割合を現在の30%から「2%台(5万台以下)」にまで削減することが目標だと語った。
第一生命「最新OSへの移行はイノベーションのチャンス」
発表会では、Windows Server 2012 R2を中核に新しいシステム基盤を構築、運用を開始した第一生命保険(第一生命)も登壇し、Server 2003からの移行について同社の取り組みを説明した(関連記事)。
同社ではこれまで、Windows Server系(2003/2008)のシステムを物理サーバー約500台で運用してきたが、新基盤ではServer 2012 R2のHyper-Vを活用して、物理サーバー台数を3分の1(160台)まで削減する計画。ラック本数では100本から20本程度へと削減されるという。
第一生命の太田氏は、今回の新基盤への全面移行を「(既存システムの)保守ではなく『前向きな取り組み』、戦略的な投資だと捉えている」と語った。同社では「移行事務局」を立ち上げ、これを好機として各アプリケーションの実装方式の見直し、ミドルウェアの標準化といった取り組みも実施しているという。「最新OSへの移行はイノベーションのチャンスでもある」(同氏)。
マイクロソフトの佐藤氏も「この機会を前向きに、戦略的に捉えてほしい」と語り、Server 2012 R2の新機能を用いることで、従来難しかったDR/BCPサイト構築、「Microsoft Azure」クラウドとのハイブリッド化といった“イノベーション”が容易になることをアピールした。