このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

変革を続ける30年目のデルを追う 第1回

新たな企業像は「世界最速で成長するインテグレーテッドITカンパニー」

Dell World 2014で感じた、株式非公開化後の「変革するデル」

2014年11月11日 09時00分更新

文● 大河原克行

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 11月4日~6日まで、米テキサス州のオースティン・コンベンションセンターで開催された「Dell World 2014」は、デルにおけるいくつかの『変革』を象徴するイベントになったと言えよう。

米デルのマイケル・デル(Michael Dell)会長 兼 CEO

オースティン・コンベンションセンターで開催された「Dell World 2014」

オースティン空港にも大きな告知バナーが

『変革』その1:“元気なデル”の復活

 ひとつめの『変革』は、株式非公開化後のデルが「着実な成長路線」へと舵を切り始めたことを印象づけた点だ。

 開催初日の報道関係者向けの会見と、開催2日目の参加者を前に登壇した基調講演で、マイケル・デル会長兼CEOが繰り返し訴えたのが「デルの成長は業界全体を上回っている」という点だ。

デル氏は、業界平均よりも高い成長を遂げていることを繰り返し強調した

 「今年前半のストレージ市場をみると、ストレージ出荷容量は業界全体では4.3%の成長率に留まるが、デルは14.8%もの成長を記録している。EMCは7.7%減、ヒューレット・パッカードは6.2%減、IBMは7.8%減だ。デルは、ナンバーワンストレージベンダーになった」(デル氏)

 さらにデル氏は「PC市場でも、業界全体の成長率が4.3%であるのに対して、デルは19.7%の成長を遂げた。デルの数字を差し引くと、業界の成長率は0.2%増に留まる」と、同社が“一人勝ち”している様相を強調してみせた。

 この「業界全体の成長率」と「デルの成長率」、そして「デルを引いた業界の成長率」を列挙して比較するプレゼンテーションの手法は、デルがPC事業を主軸としていた過去において、デル氏が何度も使っていたやり方だ。そうした手法が久々に見られた事からも、デル氏が現在の事業成長に自信を深めていることがうかがえる。

 米デルのCCO(チーフコマーシャルオフィサー)兼エンタープライズソリューションズプレジデントのマリウス・ハース氏は、「非公開企業となったことで意思決定が速まり、どんな議論においても顧客へのフォーカスが徹底できるようになった。そして、90日先のためでなく、未来のために投資することができるようになった」と語る。

 デル会長も、「多くの会社がM&Aを行っているが、それは顧客のためになっているのか。パートナーのためになっているのか。デルは非公開会社になったことで、エネルギーの100%を顧客の成功のために投資することができる」と語る。

 株式非公開化が、元気なデルの復活という結果に結びついているのは明らかだ。

(→次ページ、『変革』その2:新たな目標『インテグレーテッドITカンパニー』

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ