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変革を続ける30年目のデルを追う 第1回

新たな企業像は「世界最速で成長するインテグレーテッドITカンパニー」

Dell World 2014で感じた、株式非公開化後の「変革するデル」

2014年11月11日 09時00分更新

文● 大河原克行

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『変革』その2:新たな目標『インテグレーテッドITカンパニー』

 『変革』の2つめは、同社が目指す企業像を「世界最速の成長を遂げる、インテグレーテッドITカンパニー」という、新たな言葉で訴求した点だ。これまでは「ソリューションプロバイダー」という言葉で表現していた。

新たな目標は『インテグレーテッドITカンパニー』

 ハースCCOは、「ビジネス環境が変化し、我々の役割も変化してきた。どうやってインフラを総合的に提供し、エンドトゥエンドのソリューションを実現できるかが鍵になる」と述べる。コンバージドシステム(統合システム)ならばオラクルやIBMといった競合も提供しているが、PCなどのエンドポイントデバイスまですべてを提供できる「唯一のエンドトゥエンドの企業」、それがデルだと強調する。

 実際、今回のDell World 2014では、いくつかの先進的な取り組みを発表している。そのひとつが、次世代型コンバージドアーキテクチャーと位置づける「Dell PowerEdge FX」だ。

次世代型コンバージドアーキテクチャーと位置づける「Dell PowerEdge FX」

 Dell PowerEdge FXは、ストレージとネットワークを、2Uの筐体に統合。共通モジュラープラットフォームとして提供。データセンターなどを対象にした新たなコンバージドシステムだとしている。

 そして、このDell PowerEdge FXアーキテクチャーを、未来をデザインするITソリューションとして発表した「Future-Ready IT Solution」の一角に位置づけたのも新たな提案だ。米デルでアジア太平洋地域担当プレジデントを務めるアミット・ミダ氏は、その狙いを次のように語る。

 「世の中の先行きが不透明になる中、顧客のIT投資の手法も大きく変化している。それに伴い、インフラの規模を予測し、事前に固定する従来型のIT投資から脱却し、俊敏性のあるインフラ構築が主流になっている。今後数年後のビジネスはだれも予測できないが、変化に合わせて変わっていくことが必要である。そのためには、ソフトウェア定義型の(Software-Definedな)アーキクチャーでなくてはならない。それを実現するのが『Future-Ready IT Solution』になる」(ミダ氏)

 デルが目指すSoftware-Defined Data Centerの実現はそのひとつであり、ここにもデルは技術投資を行っている。

 さらに、会期中には、業界最低クラスの価格帯となる2万5000ドルからのフラッシュストレージ「Dell Storage SC4020 エントリーレベル・フラッシュソリューション」も発表。加えて、世界初となる5Kディスプレイ「Dell UltraSharp 27 Monitor」、ブロケードやインテルとの連携によるオープンネットワークソリューション「NFV」、10.8型ディスプレイ搭載タブレット「Venue 11 Pro 7000シリーズ」なども、会期中の目玉発表となった。今後、日本でも順次正式発表されることになる。

10.8型ディスプレイを搭載した「Venue 11 Pro 7000シリーズ」も発表された

 デル会長は、基調講演において、こうした新製品群を紹介しながら、「トランスフォーメーション」「コネクト」「インフォーム」「プロテクト」というデルが取り組む4つの柱を通じて、「インテグレーションITカンパニー」へのデルの進化を示してみせた。

(→次ページ、『変革』その3:パートナーとの連携を重視

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