米デルのCEO(最高経営責任者)、マイケル・デル(Michael Dell)氏が9月25日、米オラクルが開催している「Oracle Open World San Francisco 2013(OOW 2013)」の基調講演に登場した。
デル非上場化は「変革を実現していくため」
デル氏は冒頭、同社が非上場化した意味について語った。
「多くの方がニュースとして聞いているだろうが、デルは非上場化を決定し、プライベートカンパニーとなった。デルが非上場化を決定したのは、すべての顧客のための判断である。デルは全世界で、数多くのすばらしい企業のお手伝いをさせていただいている。しかし、世の中はテクノロジーを中心として、根本的に変わってきている。こうした変化の中で、これからデルがブレイクスルーを果たすためには、非上場化が不可欠だった」(デル氏)
同社は変革のなかにある、とデル氏は位置づける。
「デルはこれまで5年間に渡り、エンド・トゥ・エンドでエンタープライズソリューションを提供する会社に変わろうとしてきた。そのビジョンの実現に向け、M&Aを行い130億ドルを投資してきた。昨年だけでも50億ドルを投資している」(デル氏)
そのうえでデル氏は、四半期ごとの業績が求められる上場企業の立場では、同社が目指す変革を実現するのは難しいということを強調した。
「デルが目指すビジョンを実現するには、長期的な戦略が必要であり、積極的な投資が必要である。また、成否を推し量るのには、短期的な尺度では難しくなってくる。5年、10年、20年という、より長期的な期間での結果が重要である。いや、それ以上に、その先の未来の結果の方が重要である」(デル氏)
業界標準技術の採用を支援し「レガシー環境の束縛から解放」
ここにきて、デルのサーバーの売れ行きが好調だ。
昨年3月から、デルは第12世代の「Power Edge」サーバーを投入している。「これは多くのユーザーの声を反映したものであり、世界中でシェアを高めている。北米ではx86サーバー市場でナンバーワンとなり、アジア太平洋地域や日本でもナンバーワンである。全世界でもナンバーワンに近いところにいる」(デル氏)
「データセンターの中核はサーバーになる」と断言するデル氏は、サーバーのパワーに加えてストレージ、ネットワーク、セキュリティの力も強化し、それらを組み合わせることでデルとしての総合力を発揮していくと語る。
そうした戦略の象徴的な製品が、今年6月発表の「PowerEdge VRTX(バーテックス)」だ。「VRTXはサーバー、ストレージ、ネットワークを統合したものであり、複雑性を排除し、使いやすく、管理性の高い製品。あらゆる企業のビジネスの成長に貢献することができる」(デル氏)。
またデル氏は、現在の顧客が求めるものについて次のように語る。
「デルはFortune 500社の98%を顧客としており、また全世界の50万近い教室で製品が使われている。多様な顧客を持つが、実はそのニーズは共通している。パワーが欲しい、効率が必要である、俊敏な対応が必要である、セキュリティが必要だという点である。デルでは企業の脱メインフレームを支援し、俊敏かつ低コストで供給されるITシステムを提供したい。また顧客の業界標準技術への移行を支援し、レガシー環境の束縛から解放しなくてはならない」(デル氏)
そうした課題を解決するためには、経済的な新しいデータセンターの構築、クラウドアーキテクチャの活用、利用環境のモダン化といった取り組みが必要となる。デル自身がさまざまな業種についての知識を持ち、顧客のニーズを把握して、それにふさわしいハード、ソフト、サービスを提供していかなければならないと、デル氏は述べた。
デルでは、IT産業で重要な4つのキーワード、「Transform」「Connect」「Inform」「Protect」を軸として、それに向けてクライアントPCからサーバー、サービス、コンサルティング、データセンターソリューション、ソフトウェアを提供していく方針だ。デル氏は、そこで必要となるソリューションや技術を手に入れるための買収戦略を展開し、あらゆる規模の企業にエンドトゥエンドのソリューションを提供していく姿勢を示した。
(→次ページ、オラクルとデルの管理製品統合などを明らかに)
