再生形式はオーソドックス、ただし不足はない
内蔵するDACチップはシーラス・ロジックのCS4398。マランツ製プレーヤーでは2008年発表の「SA-15S2」あたりから最新の「SA-14S1」「NA8005」までエントリ~中級クラスの製品に幅広く採用されているポピュラーなチップだ。10年ほど歴史のあるチップだがDSDはSACDの2.8MHzだけでなく、5.6MHzにも対応。オーディオの世界では、最新よりも使い慣れたチップのほうが優れた結果に結びつくことが多いので、安心感にもつながるはず。
ハイレゾ再生機能としては、PCMが192kHz/24bit、すでに書いたようにDSDが5.6MHzまで対応。USB DAC用の背面USB-B端子以外にも、同軸1系統/光2系統のデジタル入力、3.5mmピンジャックによるアナログ入力、そしてiPodデジタル接続ができるフロントUSB-A端子を持つ。最新機種では384kHz/32bitのPCMや11.2MHzのDSDなどを扱える機種もちらほら出ているが、最新のUSB DACとしてオーソドックスな線は押さえており、必要十分だろう。そもそも音源がほとんどなく、機能があっても活用できない面もある。
ヘッドフォンアンプが売りの製品だが、スピーカーでもハイレゾを楽しみたい層にとっては、2系統ある背面のアナログ出力(ともにRCAアンバランス)が可変出力に対応している点はうれしい。パワーアンプと直結した場合でもボリューム調整ができるからだ。小型のパワーアンプ+スピーカーの追加だけで、ミニマムだが高品位なPCオーディオシステムが組めてしまう。将来的にハイエンドシステムに組み込むことも視野に入れながら、いろいろとステップアップが楽しめる製品でもある。