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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画」 第35回

のべ11万本の「車載動画」「旅行」タグ付き動画を調べてわかったこと

ニコ動屈指の行動力!車載動画は今日もネットとリアルを繋げている

2014年10月09日 18時00分更新

文● myrmecoleon

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 この連載では、独自に収集したデータを使って、みんな知ってるようで知らないニコニコ動画やpixivの現在を紹介していきます。今回は車載動画タグと旅行タグの動画を調べてみました。連載一覧はこちら

筆者紹介:myrmecoleon

 明治大学米沢嘉博記念図書館スタッフでニコニコ学会β幹事。趣味で同人誌やニコニコ動画関連の研究をしてる人。記事に使ったデータ元の『ニコニコ統計データハンドブック2014』など同人誌をコミケで頒布。ブロマガでは連載記事の補足も。
 Twitterアカウントは@myrmecoleon。関わった近著に『進化するアカデミア 「ユーザー参加型研究」が連れてくる未来』(イースト・プレス刊)。右の画像は筆者を擬人化?して描いてもらったキャラ「ありらいおん子」。男の娘。

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日本全国の道を写す車載動画

 「車載動画」はニコニコ動画で自動車などの乗り物に載せたカメラの映像の動画に付けられるタグ。

 フロントガラス越しのドライブ風景の映像に解説とBGMを乗せた動画が一般的ですが、GoProなどの普及もあり、バイクや自転車にカメラを付けての動画も多いです。2011年12月よりカテゴリタグとなりましたが、同時期にカテゴリタグとなったなかでは最も動画数が多いタグで、これまで1万1000人以上のユーザーにより約8万の動画が投稿されています

 車載動画の投稿はニコニコ動画初期からあり、2007年後半に増加してから2008年から2011年頃までは月に800前後の投稿がありました。カテゴリタグとなって以降は投稿数が倍増、以降2013年頃までは月に1400前後の動画が投稿され、100名以上のユーザーが新規に車載動画を投稿しています。2013年後半に入って投稿数が落ちましたが、2014年は夏以降、再び投稿が増加しています。

2014年10月はじめ時点で視聴可能な「車載動画」タグの付いた動画の月別の投稿動画数とそのユニークな投稿者数、および新規の投稿者数。削除等があり、実際の各期間の投稿数とは開きがある点注意

 動画の特徴としては実写映像のため高画質でビットレートが高め、また動画も長い傾向があるので動画のファイルサイズが大きい傾向があります。また動画の平均投稿数も多いため、ユーザーあたりの使用している容量も比較的大きい傾向のあるカテゴリです。

 コメント率は高めですが他は比較的低く、再生数の中央値は475。1万再生以上が3.0%、上位1.42%の投稿者の動画に全体の再生数の半数が集中と比較的偏りの少ないタグです。また女性や海外からの投稿者はともに全カテゴリタグのなかで最も比率が少なく、非常に男臭いジャンルと言えるでしょう。

「車載動画」タグの基本データ
合計 中央値 参考:前年の中央値 参考:全体の中央値
再生数 1億1842万6358 445 427 501
コメント数 488万8600 15 16 17
マイリスト登録数 106万1331 3 3 3
コメント率 - 3.10% 3.57% 3.12%
マイリスト率 - 0.67% 0.72% 0.83%
「車載動画」タグの投稿者データ(公開ユーザーのみ)
タグ投稿者 参考:前年の値 投稿者全体
プレミアム会員の比率 58.94% 58.08% 36.00%
女性の比率 2.68% 2.62% 25.56%
国外からの動画投稿者の比率 2.40% 2.88% 6.34%
平均年齢 28.5歳 27.7歳 24.4歳

※コメント率・マイリスト率はそれぞれコメント数・マイリスト登録数を再生数で割った値。拙著同人誌『ニコニコ動画統計データハンドブック2014』より抜粋。2013年12月上旬調査時点の値。参考のため2012年同時期の値も付記。

酷道が開拓し、バイクが広げる
車載のゆっくり実況も

 「車載動画」によく付いているタグの推移を調べるとグラフ2のようになります。

 車載動画で付けられるタグの種類としては、「バイク」「自転車」などの動画のなかで乗っている乗り物、「県道」「国道」など走ってる道の種類や「北海道」「三重」「山口」のような地名、「GoPro」「ドライブレコーダー」など撮影機器の名前、といったようなタグがあるようです。

 乗り物関係のタグとしては「バイク」が非常に多いです。バイクの車載動画は最近増えており、2013年以降の車載動画では「バイク」タグの動画が3分の1以上を占めています。

 もっとも、車載動画は自動車のものが多いため、たとえ乗用車からの映像でも「」「自動車」等のタグはあまり付けません。現在も車載動画の6割近くは自動車での車載と思われます。代わって「レガシィ」「インプレッサ」といった車名のタグを付けることはあるようです。バイクでは「Kawasaki」のタグが見えます。

 道の種類で見える「酷道」「険道」は「国道」「県道」をそれぞれもじったもので、国道や県道にも関わらず過酷で危険なことに定評のある道を走った動画に付けるもの。好んでこうした道を走った動画に人気があります。もっとも「酷道」タグは2013年以降だんだん付けられなくなってきているようです。かつてほど「酷道」「険道」が注目されなくなっているのかもしれません。

 最近の動きとしては、特殊な環境での撮影に適したビデオカメラ「GoPro」の普及があります。コンパクトでさまざまなマウントが提供されており自由度が高く、車載動画では特にバイクの動画で活用されています。タグでは2011年頃から見えますが、車載動画の「GoPro」タグの動画のうち3分の2がバイクの動画で、近年のバイクによる車載動画増加の要因となっているのではないかと思われます。

 車載動画のやり方にも変化があり、ゲームプレイ動画などと同様に“実況”や“ゆっくり”の車載動画があります。車載動画に運転中の実況をそのまま乗せる「実況車載動画」は2010年頃から増加、また走行後の動画編集時にゆっくりボイスによる音声を追加する「ゆっくり車載」といった動画も2013年頃から増えてきています。

 もっとも「実況車載動画」「ゆっくり車載」ともに手法としては2008年頃から行なわれていたものです。特に「ゆっくり車載」はバイクの車載動画との相性がよく、半数以上がバイクの動画です。

各年の車載動画タグの動画について多かったタグを順に並べたもの。システム関連のタグは除外。2014年は10月はじめまで。カテゴリタグは緑、乗り物のタグは青、道路や場所に関するタグは赤、撮影機材に関するタグは紫、その他のタグは灰色に塗ってある

日本各地の「酷道」を走った様子を動画で紹介している通称「酷道ラリーの人」の車載動画の1本目。初期から人気の高い車載動画の代表的な投稿者で、同じく酷道動画で人気の高い「かずさのすけ」氏以降一般的となったBGMで演出する手法に対し、ほとんどBGMを入れずに車の音だけを楽しむシンプルながら工夫された編集が特徴。

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