リズムマシーンを作ろう!
じゃ、ちょっとシンセっぽい使い方をしてみようね。
ランダムの後に「マイクロシーケンサ―」をつないで、リズムマシーンを作るよ。これだけで一定のテンポで、ノイズが「ジャ」「ジャ」「ジャ」「ジャ」となるんだ。
そして、このマイクロシーケンサーは、音の高さだけじゃなく、音の大きさもせっけいできるんだ。4つあるツマミで、それぞれ音の大きさが調整できる。それでアクセントをどこにつけるかを決められる。それに左いっぱいに回すと、そこだけ音が出なくなる。これで休符(きゅうふ)をどこにするかを決められるんだ。
ただリズムと言っても、スイッチのオンオフだけのような、ペタッとした音だよね。もうちょっとこう、バシッとアタックを出したいよね。
あ、そうそう、リズムにはアタックってのが大事なようそだよ。
たいこをたたいたときを思い出してみよう。バチでたたいたそのしゅんかんに、いちばん大きな音が出て、しばらくすると低い音だけがのこって、さいごは音が消えてしまう。
ごく短い時間の間に、音量と音質がかわっていく。これがたいこに代表される、打楽器(だがっき)のとくちょうだよ。
そんな感じをシンセでさいげんするには「エンベロープ」の出番だよ。そして、かわっていく音質のへんかにはフィルターを使うんだ。
ぜいたくを言うと、音量のへんかも、べつに付けたいけど、そのためにはエンベロープがもうひとついる。Synth Kitにはエンベロープが1こしかないから、そこはがまんしよう。
じゃ、まずフィルターをマイクロシーケンサ―の後につないでみるよ。これでランダムが出しているノイズの音質をかえられるようにしておくんだ。
そしてフィルターのcutoffを、ビートに合わせて動かす。そのために、マイクロシーケンサーからトリガーを取りだして、エンベロープを動かすよ。
それには、まずエンベロープの右たんし(出力)を、フィルターの「freq in」につなぐ。そしてマイクロシーケンサ―の「trigger out」をエンベロープの左がわにつなぐ。これで、シーケンサーのテンポに合わせて、エンベロープが動くよ。
そして、打楽器っぽくするには、エンベロープの「attack」を左いっぱいにして立ち上がりを速く、そして「decay」を左に回して、よいんの短い、いい感じの音に調整すると「パーカッシヴなビート」ってやつが作れるのさ。
ついでにキテレツな感じのセッティングもやってみるよ。
さっきフィルターの「freq in」につないだエンベロープの代わりに、「オシレーター」をつないでみるんだ。
これでフィルターのcutoffが、オシレーターの波形で動く。オシレーターの「pitch」を上げていくと、オシレーターの周波数(しゅうはすう)通りに、ノイズが細切れにされる。どうなるかというと、ファミコンのドラムの音みたいになるんだ。ファミコンってわかるかな?
さらにスピーカーの手前のいちばんさいごに「ディレイ」を入れて、「time」や「feedback」を調整してみよう。
テンポとディレイのタイミングによっては、シーケンサーだけでは出せない、いろんな音が重なりあったビートが出るよ。
とちゅうでfeedbackを上げたり、timeをいじったりするのは「ダブ」という音楽で、よく使われるしゅほうだよ。でも、お父さんお母さんには「うるさい!」って言われがちだから、気をつけてね!
書いた人――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。ふりーらいたー。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師(むさしのびじゅつだいがくでざいんじょうほうがっかとくべつこうし)。新しい音楽は新しいぎじゅつにかんけいがあると考えて、てくのろじーと音楽についていつも調べているよ。好きなものは自転車とウクレレとえすぷれっそだよ。