14nmは予定より半年遅れ
さて、問題はその14nmである。今聞こえてきている範囲は、インテルはP1272に関して、微細化以外の新しい技術は導入していないようだ。もともとインテルの場合、微細化以外に関しては4年おきに新技術を導入している。
上の画像は正確には「新技術の導入をする/しないの決断をほぼ4年おきに行なった」の意味であるが、SOI以外は全部導入しているわけで、新技術導入がほぼ4年おき、と考えても間違いではないだろう。したがって次の新技術導入は、あるとすれば次の10nm世代ということになる。
では14nmはどうなっているのであろうか。元々の予定では下の画像のように、14nmは本来P1272がCPU向けとして最初に出てきて、これに次いでP1273がSoC向けにリリースされる予定だった。
ところがモバイル向けの需要が高く、かつ競合するARM SoCが早いタイミングで20nmや14/16nm FinFETに移行することを恐れた結果、P1272はSoC向けに切り替わり、CPU向けはP1273として後送りになった、という話は以前連載207回で解説したとおりだ。
問題はそのSoC向けのP1272がベタ遅れになっていることだ。2014年1月の投資家向け説明会で、P1272が3ヵ月遅れる話は連載235回で触れたが、本来だと以下のようになる。
2013年第4四半期に量産開始
→2014年第1四半期に量産チップ完成
→2014年第1~第2四半期に品質評価完了して出荷準備完了(COMPUTEX頃?)
この予定が1四半期ずれれば以下のようになる。
2014年第1四半期に量産開始
→2014年第2四半期に量産チップ完成
→2014年第2~第3四半期に品質評価完了して出荷準備完了(IDF頃?)
ところが実際には、このスケジュールにぎりぎり間に合うのは、タブレット向けのBroadwell-Yシリーズのみで、これが辛うじて9月中。低消費電力向けのBroadwell-Uシリーズは、10~11月に出荷準備完了で、これはもう第4四半期だ。
より高性能のBroadwell-Hシリーズは2015年第1~第2四半期まで延びている。このあたりの詳細はいずれインテルのCPUロードマップで細かく説明する予定だが、要するに本来のスケジュールからほぼ2四半期遅れているのが現状である。
遅れの理由については、インテル関係者がかたくなに口を割らないので不明であるが、まともに進んでないのは間違いない。
P1272がこれだけ遅れると、当然ながらP1273はさらに後送りになる。Broadwell-HがおそらくこのP1273を利用していると思われるが、これが登場するのが2015年の5~6月頃と見込まれており、引き続きP1272を採用したSkylakeベースの最初の製品が登場するのと、ほとんどど同じ時期になる。
実はこのSkylakeが、P1272とP1273のどちら、もしくは両方を使うのかが現状はっきり見えていないのだが、今の話ではBroadwellと同じようにモバイル向けはP1272、ハイパフォーマンスはP1273になる模様だ。この結果2015年にインテルは、非常に多くの製品を投入すると思われる。
これはあまりプロセスの話には関係ないのでここではこれ以上論じないが、14nm世代が安定するのは2015年後半に入ってからになりそうだ。
幸いにP1272そのものは、このまま順調に歩留まりを上げていけば、2015年前半にはまともになりそうで、モバイル向け製品の22nmから14nmへの移行が進むことになるだろう。
ちなみにプロセスに関して言えば、インテルはこの14nm世代での450mmウェハーの移行は完全に放棄したようだ。理由は連載257回で説明したとおりである。
元々、少品種大量生産のコストダウンに効果的なのが450mmウェハーへの移行であるが、14nm世代は2011年2月に、14nmプロセス(とおそらく450mmウェハー)のために建設を開始したFab 42の稼動を延期する事を発表している。
理由はアップルからの受託を取れなかったからというのが通説であるが、インテルは公式には生産設備の稼働率が上がらないため、という以上の理由を公開していない。この結果として、もし450mmが導入されるとしても、それはおそらく10nmのP1274以降となるだろう。
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