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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第260回

半導体プロセスまるわかり インテルが語る14nmと10nmの展望

2014年07月07日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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10nmは2015年中に量産開始
出荷は2016年末か?

 次が10nmの話である。2013年11月の投資家向け説明会で、「2015年には10nmプロセスを使ってファウンダリーサービスを開始する」と宣言している(現在は22/14nmを利用し、ごく限られた範囲の顧客に対するファウンダリーサービスを行なっているだけ)。

ファウンダリービジネスはともかくとして、10nmプロセスを2015年に準備、というのをここで再確認してしまったので、これをずらすのは難しいだろう

 投資家にこれを明言してしまった以上、インテルとしては意地でも10nmを2015年中に量産開始にしないと問題が出てくる。ただし、量産開始から実際にモノが出てくるまでの期間がどんどん長くなっているのが昨今のトレンドであり、上で説明したとおり14nm世代ですら半年以上かかっている。インテルの関係者も、10nmに関しては2015年に準備が整うが、実際に製品が出てくるのは2016年以降になるだろうとしている。

これは競合メーカーとのタイムラインの比較。「他社の10nm世代はインテルの14nm世代と同じ」だそうだが、ではそのインテルの10nmは? というのは黙して語らず

 ここからは筆者の推定だが、おそらく10nm世代は2016年末~2017年だろう。幸い(?)なことに、14nmも遅れたおかげで、仮に10nmが2017年まで延びても14nm世代との間隔は2年程度を維持している。

 なぜ延びるかというと、一切の発表をインテルがしていないからだ。これまでインテルは順調なものについては、詳細はともかくとして順調である旨は定期的に発表があった。これは22nmや14nmもそうで、14nmもプロセスの詳細はともかくとして順調に推移していることは折に触れて発表されていた。

 ところが10nmに関しては、こうした情報が一切ない。さすがにインテルとしても嘘はつけない。嘘をつくとシャレにならない罰則が待っている。なにしろ最先端の部分だけに、株価にも甚大な影響をおよぼすし、なにより企業統制違反になるからだ。したがって、「言えない状態ならば黙ってるしかない」のだ。

 2013年のIEDMでは9nm以下の将来のプロセスに関する研究発表ばかりを示した(関連記事)のも、「10nmの話はできないから、その先の話をしましょう」ということだと判断している。

 ちなみにその10nmの先の話として出てきたのは以下の4つだ。

  • 8.7nm厚のダブルゲートへテロジャンクションTFET(Tunnel FET)
  • ヘテロジャンクションTFETのスケーリング
  • ナノワイヤーTFET
  • Resonant TFET

 どれも今すぐ量産に向けて走れるものではない。要するに10nm未満に関しては、まだ研究レベルの状態が続いているわけで、早くて2020年頃になるだろうと見られている。逆に言えば、10nmが2017年頃にやってくれば、ちょうど3年間隔でプロセスノードの更新が行なわれることになる。ムーアの法則には従えなくなるが、このあたりが落としどころになると筆者は考えている。

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