気になるオーバークロック結果は
大型簡易水冷仕様でまさかの4.7GHz?
まずは早速、読者も気になるであろうOCテストの結果を紹介しよう。結論からすると、すごく意外な結果となった。というのも室温25度の環境で、CPUクーラーとして市販品ではかなり強力な「Corsair H100i」を使用しても、常用で安定するのは4.7GHz(全コア時のターボブースト設定)でしかなかったためだ。
これに関しては、筆者もCOMPUTEXで景気のいいOC関連展示を見ていたため、最初なにかの間違いかと思い設定をいろいろ見直した。しかし、同一マザーでのi7-4770Kの結果や、先行してOCを試しているオーバークロッカーから聞いた話などから、現状では個体差を含めたCPUの特性と判断していいのでは、という結論になった。
ただし今回は、OCCTのCPU TESTを30分パスした時点で安定したと解釈しているため、短時間のベンチマークなどであればもう少し高いクロックで動作しても不思議ではない。
一方で、同じH100iを冷却に用いた場合でも、i7-4770Kは4.5GHz止まり(こちらも全コア時のターボブースト設定)で、CPUコア電圧を増加させても安定しなかった。このことから、TIM変更やコンデンサー追加と思われるOCマージン向上はインテルが言うように一定の効果がありそうだ。
さて、設定に関しては、今回使ったマザー「Z97-SOC-Force」のUEFIが優秀なこともあり、最終的にはターボブースト時の倍率設定をすべて47倍にする作業と、CPU Vcore Offset(コア電圧のオフセット値)を+0.2VにするのみでOKだった。
ちなみに、今回使用したメモリーであるKingston「HX318C10FWK2/8」は、Hyper X PnP仕様、つまり“SPDの標準データとしてメモリー側の最高性能設定が書き込まれている”便利なモデルのため、X.M.P.設定も使っていない。メモリークロックは起動後にCPU-Zで確認したが、きっちり1866MHz動作が反映されていた。
しかしこの状態で、負荷時のコア電圧は1.448Vとかなり高い。というのも、実はi7-4790Kのコア電圧は定格の時点で1.252Vと、i7-4770Kに比べても0.1V以上高いからだ。これはおそらく標準状態でのターボ時最高クロック4.4GHzを安定させるためと思われるが、裏を返せばそれなりに難しい設定であることをうかがわせる。
それを感じたのが、OCのマージンを調査するため、筆者手持ちのCore i5-3570K付属クーラーを使って定格でテストしてみた状態。なんとOCCTのCPU TESTを実行するだけで、コア温度が100度近くに達する結果となったためだ(OCCT側のコア温度測定機構での測定)。
それにともないターボブーストの効果も薄くなり、4.2GHzぐらいにクロックが落ちている。インテルのCPUで、一応とはいえ定格クロックでここまで熱くなるのは、初代Pentium D以来のことで、少し驚いてしまった。
ということで、Corsair製水冷クーラー「H100i」を使ってみたのだが、コア電圧にかかわらず4.7GHz以上ではOCCTのテストをクリアせず、さらに4.7GHzの設定ではコア温度が95度オーバーも見られたため、実用に関してもギリギリといった印象だ。
ちなみに、下調べをするためBCLK(ベースクロック)を変えての設定変更も試してみたが、Haswellと同様、基本的に内部倍率のみを上昇させた方が良い結果となったため、最終的にはCPUコア倍率のみを変更した状態にしている。このあたりのクセはIvy Bridgeなどともある程度共通のようだ。
→次ページヘ続く (クロック上昇分、ベンチスコアも上昇)
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