インテルのDevil's Canyon(デビルズキャニオン:開発コードネーム)こと新Core iシリーズのK型番がいよいよ発売となった。

Devil's Canyonこと「Core i7-4790K」
Devil's Canyonでは
熱設計を改良
「Core i7-4790K」は、インテルのヘビーユーザー向けCPUの更新というだけなく、従来モデルにあたる「Core i7-4770K」に対して定格、およびターボ時最高クロックともに500MHzという大幅アップを達成。ここ最近イマイチ景気の悪かった新型CPUクロックの大幅更新+定格4GHz突破ということで、一気に熱い注目があつまる製品となった。
さらにインテルは6月2日から台湾で開催されたCOMPUTEX TAIPEIでも、自作PC向け展示における中心製品として位置づけ、自社ブースのみならず、一部マザーボードメーカーブースなどでもオーバークロック(OC)状態で出展。ダメ押しとしてCOMPUTEX合わせでのOCコンテストまでも実施し、大きな話題となった。
それというのも、インテルがDevil's Canyonの特徴として、内部の熱伝導物質TIM(Thermal Interface Material)をポリマーベース素材に変更し、とくにOC時での限界クロックを向上させた点を挙げているからだ。
TIMはCPUダイからヒートスプレッダに熱を伝える役割があるが、Ivy BridgeやHaswellでは、それまでのCPUで使われていた熱伝導ハンダよりも性能が低いシリコーングリスが使われていた。
OCを楽しむユーザーにとっては、ここが熱輸送のボトルネックとなり、高性能なCPUクーラーを使ってもクロックが上がらない(i7-4770Kではおよそ4.5~4.6GHzから顕著となる)という問題があった。
Devil's CanyonではTIMの変更で熱伝導率を上げ、さらにCPUソケット側のコンデンサーなどを増加。熱と電気的な安定性を増し、OCを容易にしているというのである。このあたりの改良がどれほどかが、Devil's Canyonを評価する上で重要なポイントとなりそうだ。
ラインナップは2モデル
Devil's Canyonとしてラインナップされるのは、「Core i7-4790K」と、「Core i5-4690K」の2モデルだ。両者の違いは、i7-4790Kがハイパースレッディング機能を搭載し、4コアで8スレッド(プログラムの処理単位)を演算可能、i5-4690Kはハイパースレッディング非搭載で4コア4スレッド演算可能という仕様。
ここまではこれまでと同じなのだが、今回は動作クロックも大きく異なる。i7-4790Kがクロックを景気よく増しているのに対し、i5-4690Kは定格3.5GHz、ターボ時最高3.9GHzと、4790Kに比べると控えめな……というより、これまでのインテルCPUにありがちな“100MHzだけ増加”になっているからだ。
それでいて価格は、従来モデルとほぼ同じ。i7-4790Kが3万円台後半、i5-4690Kが2万円台中盤といった水準になっている。こうした理由から、予約を受け付けたパーツショップでは、上位モデルであるi7-4790Kに人気が集中している状態だ。
テスト環境
さて今回は、編集部が早速入手したi7-4790Kのサンプル(ES)品をi7-4770Kと比較しつつ、オーバークロックを含めたベンチマークテストで、果たして噂通りの実力なのかチェックしてみたい。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | Intel 「Core i7-4790K」(4.0GHz、ターボ時最高4.4GHz) Intel 「Core i7-4770K」 (3.5GHz、ターボ時最高3.9GHz) |
マザーボード | GIGABYTE「GA-Z97X-SOC Force」 (Intel Z97 Express) |
メモリー | Kingston「HX318C10FWK2/8」(DDR3-1866 4GB×2枚) |
SSD | Crucial m4 128GB |
電源ユニット | サイズ「ENERGIA-800P」(800W、80PLUS GOLD) |
OS | Windows 8.1 Update Enterprise 64bit |
→次ページヘ続く (水冷でオーバークロックを試す)

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