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アップルが普及を狙う「iBeacon」とは何か? その基本を押さえる

2014年05月30日 11時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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iBeaconに対する誤解とNFC

 一部で「iBeaconはとにかくすごい技術だ」「NFCを置き換える技術」といった過剰な期待と誤解が広がっているが、紹介したようにiBeaconは位置情報取得にまつわる基本的な情報を提供する仕組みに過ぎない。ゆえに本格的な活用にあたっては、今後もいろいろと創意工夫が必要だ。

 また、決済関係ではすでに実績を積んでいるNFCに一日の長があり、少なくとも今後10年程度のスパンでは「iBeaconがNFCに取って代わる」という状況にはなりにくいだろう。NFCをベースにした決済システムの世界展開がすでに進みつつあり、主に先進国を中心に対応レジが急増しているという理由もある。

 一般には、iBeaconとNFCは今後も住み分けていくという考えが主流だ。NFCの近距離通信は「アンテナ同士の距離を離すと信号が急減衰して通信できなくなる」という性質を最大限に利用したもので、特に決済など「明示的に支払いを行なう」といった場面で使いやすい。セキュリティ的にも有利だ。

 一方でiBeaconのベースとなっているBLEは、10m程度の距離を対象に「一斉通信(同報)」することに秀でているという特徴がある。つまり、「BLEで周辺にどのようなデバイスが存在するかを把握し、対象が見つかったらNFCで直接ペアリングして通信を行なう」といった使い方が非常に有効だ。重要なのは使い分けというわけだ。

Androidにおける問題点

 そして現在、iBeaconのサービスというと「対応デバイスがiPhone限定」といったケースがほとんどだ。理由としては、iOS 7を導入可能なデバイスでほぼすべてiBeaconの仕組みが利用できるiPhoneに対し、Androidでは基本的にKitKat以上のOSバージョンが要求されるのに加え、iBeaconを動かすのに必要なBLE対応デバイスがまだ限られている。

 そのため、Androidをターゲットにアプリを開発しても利用者の数が圧倒的に少なく、この状況が改善されるまで、あと1年〜1年半ほどが必要だという分析がある。しばらくは主にiPhoneユーザーを対象したサービスという現状には変わりないだろう。

iBeaconの今後

 iBeaconの今後だが、前述のように開発者の間で盛り上がってはいるものの、まだ初期の研究段階にとどまっており、事例も実験的なものが中心だ。今後は「アプリ開発からBeaconモジュール設置まで」のノウハウをまとめた導入システムのパッケージ化や、より高度な導入事例が増えると思われる。NFCとの相互運用も合わせ、1〜2年ほどかけて状況は目まぐるしく動いていくだろう。

 「店舗やサービスごとにアプリを用意しなければいけない」という煩わしさもあり、Macy'sのShopkickの事例のように複数の店舗のサービスをひとつのアプリでまとめるといった仕掛けも多く登場すると予想される。例えば、PayPalのような事業者が複数の店舗で利用が可能な「会計アプリ」をリリースしたりするかもしれない。とにかく応用事例が無限に広がる可能性を秘めた技術であり、今後が楽しみだ。


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