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Apple Geeks 第135回

2013年、Appleの行く年来る年 〜今年は「順風」だった?〜

2013年12月27日 10時00分更新

文● 海上忍(@u_shinobu

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 本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。

 UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。

さまざまな製品/サービスで楽しませてくれたApple

 2013年もAppleはさまざまな製品/サービスで我々を楽しませてくれた。ハードウェアでいえば、「iPhone 5s」「iPhone 5c」に「iPad Air」、そして「iPad mini Retinaディスプレイモデル」。「MacBook Air」などMac製品も、一新とまではいかないものの実のあるマイナーアップデートが施された。

「iPhone 5s」および「iPhone 5c」

「iPad Air」

「iPad mini Retinaディスプレイモデル」

 ソフトウェアもiOS 6.1のリリースに始まり、OS X MavericksそしてiOS 7と、着実な進化を見せてくれた。MavericksでOS無償化を実現したことも、ハードとソフトを一体的に提供するAppleにおいては重要なトピックだ。サービスに関しては、ここ日本でもiBookstoreがいよいよオープン、順調に電子ブックの取り扱い数を伸ばしている。

表:2013年の主要な製品・サービス
1月 iOS 6.1アップデートを公開
3月 iBookstoreを日本で提供開始
iOS 6.1.3アップデートを公開(「マップ」の修正)
6月 米国でiTunes Radioをスタート
MacBook Airをマイナーチェンジ
9月 iPhone 5sを発売
iPhone 5cを発売
iOS 7をリリース
iMacをマイナーチェンジ
10月 OS X Mavericksをリリース
iPad Airを発売
MacBook Pro Retinaディスプレイモデル
をマイナーチェンジ
11月 iPad mini Retinaディスプレイモデルを発売
12月 Mac Proを発売

ただし、ソフトウェア/OSには問題が……

 しかし、順風満帆だったかといえばそうではない。2012年秋の公開以来、その不具合の激しさ(というよりα版以前の完成度といわざるをえない)でたびたび“ネタ”にされたiOS 6の「マップ」だが、不具合が解消されたのは約半年を経た今年3月のこと。エンドユーザーの信頼は回復しつつあるようだが(関連記事)、ソフトウェアの品質管理プロセスになんらかの問題があるのでは、という疑念はいまだ解消されていない。

海中に駅がある、地名に外国語が表示されるなど問題が多かったiOS 6リリース直後の「マップ」。3月公開のiOS 6.1.3で問題の多くは解消されたが……

 10月公開のOS X Mavericksも、「メール」で新規作成したメッセージにISO-2022-JPなど特定の文字コードを指定できない — UTF-8決め打ちへの肯定的な意見もあるだろうが、RFCが今なお尊重されている以上1社の判断でこれを無視するのはいかがなものか — など、首をかしげてしまう仕様が散見された。

Mavericksの「メール」では、送信メッセージの文字コードがUTF-8で決め打ちされ、「メッセージ」メニューから「テキストエンコーディング」が消えた

 ご存知のとおり、Appleは自前の製造ラインを持たないファブレス企業だ。精緻な販売予測のもと、販売開始直後に製品を大量投入できるよう外部委託先を確保し、品質を含め徹底した管理を行なう……iPhoneiPadシリーズを見るかぎり、この機構は驚嘆するレベルで機能しているように映る。だが、ソフトウェア/OSは違う。カーネル周辺など低位レイヤーを除いては、Appleは自社内に大半のリソース(人材)を抱えるファウンドリーと例えることができるだろう。

 前述したiOSの「マップ」は、外部企業の地図データを活用しているにせよ、Apple主導でエンジニアリングを行ないリリースの可否を決断している。Appleの"ファウンドリー部門"でかくのごとき事態が発生したということは、組織のどこかに機能不全が生じ始めているのでは、という疑念さえ出てきてしまうのだ。

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