
本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
本来の姿に戻ったWWDC
基調講演の内容に関して言うかぎり、今年のWWDCのターゲットは完全に「開発者」だった。本来開発者を対象としたイベントであり、当然といえば当然だが、ここしばらくWWDCの基調講演が新製品発表の場として利用されてきたことは事実。しかもMacworld Expoなど他社主催のイベントへの参加を取りやめてからというもの、その傾向は一層強まっている。ハードウェアの発表が皆無だった今回の基調講演に不満を覚える向きが多いとしても、仕方ないことだろう。
しかし、多少なりともアプリ開発の経験があれば、今年の基調講演には大きなインパクトを感じたはずだ。「iOS 8」が秋にリリースされること、そこには約4000のAPIが追加されること。アプリ間におけるデータの受け渡しを強化する「Extensibility」、MetalやSprite Kitといったフレームワークは注目度が高いが、それでも4000のうちの一部に過ぎない。
なかでも注目されるのは、終盤に発表された新開発言語「Swift」だろう。その実力(生成されたアプリの効率性)は未検証ながら、JavaScriptやRubyを連想させる簡潔な文法、Xcodeとともに利用することでBASICのようにライブコーディングできる生産性の高さ、それでいてバックエンドのコンパイラは実績あるLLVM、しかも現在メインの開発言語Objective-Cと並立可能……と、アプリ開発経験者であれば刮目する特性を備える。本稿では、Swiftの登場がどのような意味を持つか、今後のOS X/iOSアプリ開発にどのような影響を与えるかについて考えてみたい。

この連載の記事
- 第187回 NFCの世界を一変させる!? iOS 11「Core NFC」の提供開始が意味するもの
- 第186回 Appleと「4K HDR」 - iOS 11で写真/動画を変える「HEIF」と「HEVC」
- 第185回 iPhone 7搭載の「A10 Fusion」「W1」は何を変えるか
- 第184回 オープンソース化された「PowerShell」をMacで使う
- 第183回 アップル製デバイス連携の鍵、「Continuity」とは?
- 第182回 DCI-P3準拠へと歩むiPhone/iPad - WWDC基調講演で秘められた新技術は、ここにある(2)
- 第181回 WWDC基調講演で秘められた新技術は、ここにある(1)
- 第180回 WWDC直前、買い替え前にマイMacのココをチェック
- 第179回 私がiTunesを使わなくなった5つの理由
- 第178回 今あえてiPhone「Live Photos」を知る
- 第177回 「Windows Subsystem for Linux」はOS Xのライバルとなるか?
- この連載の一覧へ