4月26、27日に行われたニコニコのお祭り「ニコニコ超会議3」。幕張メッセの1〜8ホールに、踊ってみた、歌ってみた、ボーカロイド、自衛隊やダイオウグソクムシなど、様々なテーマのブースが林立するという大規模なイベントだ。
今回は、「第6回ニコニコ学会β」に注目。大学や研究機関に所属しているプロだけでなく、アマチュアの「野生の研究者」も集まって、自分の成果をアピールできるという開かれた学会だ。超会議3では、8つのステージ講演に加えて、常設のポスター展示を実施。ポスター展示は、解説していた研究者に直接質問しながら楽しむ人々が多かった。そんな中から、筆者が興味を持ったいい意味で「変な研究」を紹介していこう!
トップ研究者が直接語る「研究100連発」
初日となる26日の15時からは、ステージで「研究100連発」というセッションを開催していた。これは、第一線の研究者5名に、過去から現在にいたるまでの研究成果を20ずつ発表してもらうというもの。
今回は産業技術総合研究所知能システム研究部門主任研究員の梶田秀司さん、筑波大学大学院システム情報工学研究科知能機械システム専攻教授の岩田洋夫さん、産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センター長の持丸正明さん、名古屋工業大学大学院工学研究科機能工学専攻教授の佐野明人さん、大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻教授の石黒浩さんという精鋭が集まった。来場者もかなり多く、身動きを撮るのも難しいぐらいに混雑していたぐらいに人気だった。
アンドロイド開発で世界的な権威である、大阪大学の石黒浩先生。「脳の機能はほとんど人を認識するためにあって、コンンピューターやスマホはトレーニングしないと使えない。技術が進むと必ず人型になる」という前提の話をした上で、遠隔操作アンドロイドの「テレノイド」を紹介していた。大人とも子供ともとれる人間をミニマルデザインした形状で、皮膚のように柔らかい素材でできている。一見、不気味な外観なのだが、ネット越しに人間の声を当てて顔を動かすと、自分の思い描く人を投影できるのが不思議だ。
「人間らしいのがアンドロイドではない。人間は想像で人と交わる。人間の中にいる人を認識してくれるモデルを喚起してくれるものが、最も人間らしかったりする。人間だとプレッシャーを感じるけど、テレノイドなら自分のイメージを投影できる」という言葉が印象的だった。
最近では、海外で呼ばれた講演にアンドロイドを行かせて遠隔で話しているが、それでも僕の話を聞いたといわれるそうだ。ちなみに、石黒先生が40個発表してしまい、結果として「研究120連発」という大盤振る舞いになっていた。
MMDerのおっさん率が明らかになった!? ブース展示
ブース展示も興味深いものが多かった。成安造形大学の林宗将さんによる、本物っぽい阿修羅像の骨格は、興福寺におさめられている国宝をモデルにしたもの。以前は「肌」という作品を制作したこともあり、人の雰囲気や気配に興味を持って制作活動をしている。きっかけは、よく見ると人間と似ていないのに、人と勘違してしまうことが起こることへの疑問だ。作品を通して、本物っぽさを解明したいと語っていた。
プロ・アマを問わず、どの研究者も情熱を持って発表し、観客も巻き込んで熱気を放っていた第6回ニコニコ学会β。通常の学会では専門家が集まるが、超会議ではまったく興味を持ってなかった通りがかりの人にもアピールして、自分の研究を広めるきっかけをつくれるのが魅力だ。「これは絶対に面白い!」と好奇心全開で研究を続けている人なら、ぜひ次回のニコニコ学会に応募してみてはいかがだろう。
公開当初、関係者のお名前が一部間違っておりました。お詫びして訂正いたします。(4/29 19:30)
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