Windows XPの公式サポートが4月9日に終了した。基本的には世界中でこの日にサポートが終了となったが、中国では少し事情が異なる。
4月9日にサポート終了はするが、先立つこと3月にマイクロソフトが「XP用戸支持行動」(直訳すると、XPユーザーサポートアクション)を、レノボと中国3大ネット企業の1社「騰訊」(Tencent)とともに発表したのだ。
海賊版の利用率が高いWindows XP
これは、マイクロソフトが中国ベンダーと協力して、新しいOSにユーザーが移行するまでの間、中国ベンダーがWindows XPのその後のセキュリティーの穴埋めなどをサポートするもの。
中国のソフト事情というと、海賊版を想像する読者も多いだろう。中国人も自作からメーカー製ノートPCに移行するとともに、Windowsプリインストール率が高くなった。すなわちWindowsの正規版を利用する人も増えた。
逆に言えば、中国のインターネット黎明期に普及しだしたWindows XPに関しては、サービスパックと更新プログラムが適応された最新の“海賊版Windows XP”が街中やネットで手に入ることもあって、その利用率が極めて高い。
さらに、中国人の間で定番のユーティリティーは、Windows Updateを介さずに脆弱性の修正プログラムをアップデートし、セキュリティーを強化するもの。Windows XPサポート終了後も、これまでサポートしてきた定番のユーティリティーベンダーが中心となってWindows XPをサポートするので、当の中国人ユーザーにとっては、今まで通りのサポートが続くという認識だ。
マイクロソフトが低価格アップグレードを提供するも
セキュリティーベンダーはこれ幸いとユーザーを囲いこむ!?
マイクロソフトは、ユーザーを正しい方向に導くべく、299元(約5000円)でWindows 8アップグレード版を期間限定で発売するとしている。中国ではWindows XPの利用率がいまだに全体の6割を占めているともいわれている中、中国ベンダー各社は逆ベクトルに走り、ビジネスチャンスとばかりにユーザーを抱え込もうと、Windows XP搭載PCの充実したサポートをアピールしている。
特に目立ってサポートを発表しているのが、前述の騰訊と、日本でもキングソフトとして知られる「金山軟件」、それにここ2,3年で頭角を見せた新興のセキュリティベンダー「奇虎360」の3社。Windows XPサポート終了でも、これをビジネスチャンスととらえ、ユーザーを囲いこまんとしている。
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