今、中国ではWindows 8.1搭載タブレットが1万円を切る価格で売られている。円安のご時世で1万円弱である。
タブレットではあるが、USBハブやBluetooth経由でキーボードとマウスをつなぎ(ついでにストレージも)、microHDMIコネクターとディスプレーをつなげば立派なPCである。ちなみに、Android搭載タブレットは、スペックを求めなければさらに安く、日本円で6000円程度から発売されている。
日本でも中国発から直輸入されたタブレットや、ショップブランドのWindows 8.1タブレットが売られている。日本での発売価格は安いもので1万円台ではあるが、既存のPCに比べて驚くべき価格だ。
ヘビーユーザーに「中華タブレット」は受け入れられている。中国のIT製品は一部のユーザーからとはいえ、いつから受け入れられたのだろう。
中華タブレットが受け入れられるルーツは
PC98時代のPCパーツにあり!?
日本ユーザーが最初に関心を持った中華系IT製品といえば、PCパーツではないだろうか。日本の(NECの)PC-9801全盛期、中国、いや、香港でPCやPCパーツを買い付けるヘビーユーザーがいた。
香港で買うPCは、日本で売られるPCに比べて値段は半額、いやそれ以下だった。
1990年にIBMが、1991年にマイクロソフトが、日本語をソフトウェアにより扱うことができるOS「DOS/V」をリリースする。これにより香港で売られる製品はますますヘビーユーザーの注目を集めた。
香港に行くという精神的に高いハードルはあれ、そのハードルを越してもいいような魅力がそこにはあった。現状のタブレットPCを求めるヘビーユーザーと、昔の激安PCを求めるヘビーユーザーの状況は似てはいないか。
日本でWindows搭載PCが普及して、COMPAQやDELLなどが登場してからは、中華ハードはいい意味で日の目を見ることはなかった。
ASUSやGIGABYTEも台湾メーカーではあるが、中華ハードといえるほどアウトローな製品ではない。PCパーツ屋ではmp3プレーヤーやmp4プレーヤーなどのシリコンプレーヤーがワゴンで売られるくらいだし、特別中国語のパッケージの製品が安く売られていたわけでもない。
中国のイロモノ製品が
日本のヘビーユーザーに受け入れられている
中国の音楽をあえて流すショップもあるが、いい意味で注目を集めたモノがあったわけではない。
たとえば中華ロボの「先行者」や、Wiiモドキの「威力棒Vii」や、iPhoneモドキのAndroidスマートフォンが出たが、それは過去の香港のPCパーツや、現状のWindows 8.1タブレットのようなお買い得枠には入らず、イロモノ枠であり、ネガティブな注目製品である。
現在のPCファンが、香港の激安PCパーツを回顧してWindows 8.1タブレットを買っているのではなく、イロモノ枠のはずの中国が、日本のヘビーユーザーにいつしか認められたのではないか。
タブレットが売れる前段階で、小米(シャオミ)がブレイクし、一度は四半期単位ではあるが世界シェア3位、中国シェア1位となったことが日本のメディアでしきりに報道された。
「なんだか小米はすごいらしい!」という印象とともに、小米のスマートフォンを見て「中華スマートフォンは悪くないんじゃないか」と感じる人が増えた。
小米のブレイク以降、筆者自身も「小米について書いてほしい」「コメントしてほしい」という仕事が舞い込んできた。フィーチャーフォン時代にはなかったことだ。小米が最大のトリガーになったことは間違いないが、レノボが世界初のIntel Atom CPUを採用したスマートフォンを出したことも、インパクトを与えた。
(次ページに続く、「ワクワクするようなチャレンジングな製品がある!」)

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