米国時間9月30日にMicrosoftから「Windows 10」が発表されたが、その少し前の9月25日、中国では「中国独自OS」が研究されていることがひっそりと明らかになった。
中国工程院の倪光南氏が「互聯網与産業革命(インターネットと産業革命)」がテーマの会議において、このOSについて発表。
なんでも「今月にもリリースされる」そうで、「1~2年以内に57.8%のWindows XPユーザーが乗り換えるだろう」とし、「3~5年以内には、スマートフォン向けにも提供し、Android、iOS、Windows Phoneスマートフォンに普及させる」と語った。
どれだけ巨大な風呂敷を広げるんだ、と思っても不思議ではない。このニュースを見た中国人も読者も「発想はいい」「毎年この手の話は聞いて早や10数年」などと生暖かく見守るコメントや、「GoogleもMicrosoftも民間企業で国家がやるものではない」「また国の税金をむしり取ろうとする科学者登場」などという手厳しいコメントばかりとなった。そこに期待はまったくない。
確かにこの手の発表は、今まで中国のバックアップを受けた技術者から何度もあったがその都度立ち消えとなっている。今回の発表にしても、Windows XPユーザーが使いたがるような斬新的なOSは出ないだろう。
だが、今回は少し様相が違う。今年はあらゆるGoogleのサービスへのアクセスブロックや、iOSのサーバーを中国国内で用意させるなど、ネット規制が極めて厳しいのだ。
セットトップボックス用OS「TVOS 1.0」で
動画アプリに規制がかかる
中国が開発したOSでは、近年では今年6月に開発中だと発表され、その翌月の7月よりリリース。セットトップボックスへのインストールが義務付けられた「TVOS 1.0」がある。
TVOS 1.0はセットトップボックス向けOSで、TVOS専用アプリ以外はインストールできないというのが最大の特徴だ。これにより中国国外どころか、中国国内の動画サイトのアプリをインストールできなくなり、テレビ向け動画コンテンツを政府側でコントロールできるというわけだ。
事実、8月には筆者が所有する数台のセットトップボックスやスマートテレビで、いくつかの動画アプリを起動すると、サービスの終了が突然表示され、その動画アプリは使い物にならなくなった。
この状況にHTPC(ホームシアターPC)が再度話題にのぼるようになる。以前から、リビングに置いて、テレビに繋いで動画を見るHTPCライフの提案は、IT系メディアで行なわれていたものの、普及することなく低空飛行だった。
だが、突如登場した中国製新OSが原因でセットトップボックスが利用できなくなれば話は別だ。
(次ページに続く、「HTPCにうってつけの小型PCが続々登場」)
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