5万5000件の出店申し込み数を叩き出したYahoo!の無料化宣言
Amazon、楽天市場の二強にYahoo!が無料化で食い込む
2014年01月27日 09時00分更新
大手ネット通販売上高は通販市場全体の6割を占める
日本ネット経済新聞調べによると、楽天市場など国内の大手ショッピングモールやアマゾンの流通総額合計は2.8兆円であり、その他通販業界大手のネット売上高を合わせると約3兆円でした。日本通信販売協会(JADMA)や経済産業省発表の通販・EC小売りの12年度市場推計のうち、これら大手10社の合計値だけで、6割近くとなりました。
つまり、楽天やアマゾンその他の大手がEC市場の大半を握っている状態というわけです。ECショップの多くが出店料や販売手数料を払って大手ショッピングモールに出店する理由は、EC市場の流通や販売のほとんどを大手ショッピングモールが握っており、よほどブランド力がなければ単独ではビジネスとして成立しづらいからです。
楽天 VS Amazonの闘いの軍配は?
Amazonは2007年からモール事業に進出していますが、基本は自社で商品の仕入れから流通までを握り、直接販売をするビジネスモデルを取っています。一方の楽天はショッピングモールとして各種ショップに参加してもらい、出店料やシステム利用料を得るテナントモデルのビジネスをしており、ビジネスモデルが違います。
単純な比較はできないのですが、あえてこの両社を比較してみるとどうなるのでしょうか。
米Amazon.comの2012年12月期の日本での売上高は、前期比18.6%増の78億ドル(約7300億円)であり、日本で事業を展開するネット通販企業の売上高としては最大となっています。なお、Amazon全社の売上高は同27%増の610億9300万ドル(約5兆7400億円)でした。日本での売上高は、小売業全体で10位前後となります。
日本のネット通販企業では楽天が最大手であり、「楽天市場」や「楽天トラベル」、広告料などを含めたインターネットサービス部門の12年12月期の売上高は2858億円でした。つまり、売上高レベルではAmazonが楽天の2.5倍得ているというわけです。
Amazonは流通総額を明らかにしていないのでわかりませんが、楽天市場の出店企業の流通総額は1兆3000億円程度になります。1兆3000億円程度というのは、EC市場全体のうち約7分の1にもなります。楽天の影響力の大きさがよくわかります。
無料化で出店数はYahoo!が楽天を上回る
一方Yahoo!は、昨年10月にECサイトの出店料・売上手数料の無料化を発表しました。2012年12月時点でのYahoo!のショッピング関連事業は838億円だったので、この大半がなくなったというわけです。
2012年12月期の売上高で見ると、Yahoo!は楽天の3分の1以下と差を付けられています。この差を縮めるためには、「無料」というくらいの思い切ったインパクトが必要だったのでしょう。
実際、出店数で見れば、無料化発表前は楽天が約4万店、Yahoo!は約2万店とおよそ半分でした。それが、無料化発表後わずか2週間で5万5000件の出店申し込みがあり、出店予定数では楽天を抜いています。
楽天VSAmazonの二強の闘いに、Yahoo!が食い込んできました。今後の動向は要注目です。出店先や広告出稿先を選ぶ際の参考などに使ってみてください。
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