膨大な情報を処理するエキスパート
顧客サポートと運航管理
ミッションディレクターの左に位置する顧客サポートは、遅延情報をいち早く外部に知らせるチームだ。空港カウンターにある大型ディスプレイの「遅延・欠航」の表示にはじまり、ホームページでのリアルタイムフライトインフォメーションの発信、また社内各部門への通達などもここで行なわれる。
さてOCCの右側は、おもにフライト中の飛行機との調整を行うセクションだ。大きくは国際線と国内線の運航管理に分かれており、国際線はアメリカ方面とヨーロッパ方面に分かれている。
他チームはおもにコンピュータの操作が中心で、日英交じりの電話の会話が聞こえる程度だが、運航管理はOCCで一番騒々しいチーム。なぜなら日本全国をフライト中のパイロットからの無線をモニターしているためだ。
パイロットと運航管理管が無線通信と各種のデータリンクを駆使して、現在の飛行機の状態や情報を収集、パイロットからのリクエストに答えたり、フライトの提案などを行なう。なお国際線の場合は地球の裏側まで届く特殊な電波帯の無線を使ったり、衛星電話回線を通じてやり取りをする。
また運航管理は、安全で快適なフライトに必要な情報を提供する、データセンターにもなっている。常に気象データの専任が、各空港の気象情報や上空の天気図、風向きを収集・予測しているだけではない。
データリンクを経由して飛行機の位置情報と高度、そして揺れのレベルが刻一刻とOCCに送られるので、できるだけ揺れの少ない高度やルートをパイロットに提案(それを受けてパイロットは航空管制官にルートや高度の変更をリクエスト)したり、機内サービスの開始時刻などをアドバイスする。
経済的、かつ気象が安定している
道のりをナビゲーションする航路支援
エンルート(航路)支援は、飛行機のルート案内をするナビゲーションチームだ。空は自由に飛べるわけではなく、道路と同じで、決められた航路があり、電波標識間を決められた高度で飛ぶ必要がある。また交通量が多い太平洋上では、何航路もあり、航路によっては追い風や向かい風になる場合があり、好条件の航路は各社で取り合いになる。
エンルート支援は飛行機の最適な(より経済的で有利、そして気象が安定している)道のりをナビゲーションするというわけだ。また軍事演習やロケットの打ち上げ、大気圏再突入などにより、エンルートが一時通行止めになる場合もある。こんな場合もエンルート支援の出番となる。
OCCはこのように情報の収集・分析・判断を各チームのスペシャリストが行ない、スケジュール統制はこれを元にイレギュラーを最小限に押さえ、今後発生するイレギュラーを想定、以降は想定内のオペレーションとして対応できるように、調整・コマンドを出すのだ。
それを総指揮するのがミッションディレクターであり、われわれがフライトインフォメーションとして見聞きできる状態に発信するのが、顧客サポートチームというわけだ。