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iPadの魅力を加速する新モデル登場

タブレット市場の空気を変える「iPad Air」

2013年10月30日 10時00分更新

文● 林信行

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アップル自ら戦略を変える、自信の結晶

 このiPad Airにどれだけの魅力が備わっているかは、アップルの自信をうかがわせる重要な戦略変更からも伝わってくる。

 昨年、最初のiPad miniが出た時は、A6プロセッサーを採用した第4世代iPadに対して、1世代遅いA5プロセッサーと世代的に遅れた感のある非Retinaのディスプレイを搭載してきた。

 ある意味、プロセッサーの性能を落とすことで、iPad miniの価格を下げ買いやすくする一方で、軽さを取るか、処理性能や解像度といった先進性を取るかと迫っていた。

 その結果、多くのユーザーが選んだのがiPad miniのほうだった。

 それが今回の秋の発表では、iPhoneもiPad miniも、iPad Airも、64bit CPUのA7とM7のモーションコプロセッサーは同じ条件。多くの人が気にしていたiPad miniのRetinaディスプレイの解像度は、2048×1536ドットとiPad Air(および旧iPad)と同じ(ついでに、Retinaディスプレイ版iPad miniのピクセル密度はiPhone 5シリーズと同じ)と、画面サイズと重量以外の条件は3製品ほぼ共通で、単純に画面サイズだけで製品を選べるようにしているのだ。

 新しいiPadの重さが去年までの延長線上にあったら、おそらくひとり負けの製品になっただろう。だが、iPad Airは、その流れを断ち切るほどの軽さを備えたまま、9.7インチ液晶を搭載したことで、かえって大型ディスプレイの魅力が際立ち、今回の共通仕様戦略を安心して展開できるようにしたのだろう。

 昨年、第4世代iPadとiPad miniの両方を使い始め、その結果、iPad miniしか持ち歩かなくなっていた筆者も、これからは改めて大きなスクリーンが魅力のiPad Airに切り替えようかと思案中だ。

 もしiPad AirとiPad mini Retinaディスプレイモデルのどちらにするか迷っているなら、以下に挙げる判断基準で選べばいいのではないかと思う。

 そもそも、最近、小さな文字や小さな画面表示が見づらくなってきたという人は迷わずiPad Airだ。一方で、視力に自信があって、小さな画面の小さな文字でも鮮明でさえあれば読める、という方なら、iPad mini Retinaディスプレイモデルを選ぶといい。

 また、外出先で3〜4名くらいの人に、商品情報や自分の作品をiPadの画面で直接見せることが多そうな人は、やはり、画面が大きく大勢で覗き込みやすいiPad Airがお勧めだ。

 一方で、外出先でのプレゼンはiPadをテレビやプロジェクターにつないでやることが多い人はiPad mini Retinaディスプレイモデルでいい。

 長時間の電車通勤中に映画や動画番組を楽しみたい人は、9.7インチのiPad Airのほうが画面が大きくて楽しめるかもしれないが、混雑の度合いによっては、存在感がありすぎるので7.9インチのiPad mini Retinaディスプレイモデルがいいかもしれない。

 いずれにせよ、これからのiPad選びは「画面のサイズはこっちだけれど、性能的にはこれもほしい」といったトレードオフを考える必要がなくなった。自分の感性や必要性に素直に従った製品選びができるのは、消費者としてうれしいところだ。

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