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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第130回

「なんにもないところで演奏するのは本当に幸せ」

初めてのお客さんが40%—東京ではあり得なかったライブの今後

2013年10月05日 12時00分更新

文● 四本淑三

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第1回このうまツアー同行日誌 3日目(3月28日)
宮古から大船渡へ やや曇り

ホテルからバスへと運搬されるケンタウロス。普段ケンタウロスは使い捨て。でも、このツアーでは初日に作られたものを3日間使い続けた

 第2の会場、大船渡フリークスへ向けて、宮古ホテル沢田屋を出発。約3時間で大船渡着。この会場は津波にのまれて半壊した大船渡駅前の建物を改装したもので、もともとはスナックが入っていたらしい。

 フロアは狭いがステージも狭い。ポニーの店長が一輪車に乗ってベースを弾き始めたら、お店の人に怒られるんじゃないかと心配だったが、逆にフロアモニターを避けたりしてスペースを作ってくれた。

 ちなみにこの一輪車を店長は「のりたま号」と命名。koxxというフランスのメーカー製で、パーツ単位でオーダーしたもの。制作費用は約4万円。そんな店長は、日本中探してもやれる人は数えるほどしかいないという、一輪車の特殊なテクニックを体得しているスペシャリストなのだった。ただしベースはいつも借り物で、エフェクターすら持っていない。そのくせシールドが一輪車のパフォーマンスの邪魔になるというので、SAMSONのワイヤレスレシーバーとトランスミッターは自前で持っているというのが面白い。

大船渡フリークスの周囲は津波で流され、ほとんど何も残っていない

出演者控室もこんな感じで、コンクリートむき出し

会場の最寄り駅はJR大船渡駅。ただし、大船渡線の沿岸部は震災以降不通となり、現在はBRT(バス高速輸送システム)が運行している

近所にはプレハブの復興商店街がいくつかあって、各自勝手に昼食。ラーメンが美味しかったとか、お店のお姉さんが可愛いかったなどの報告を受ける

私はお昼に冷麺をいただきました。美味しゅうございました

看板はひとみちゃん(AGOBOT)の手書きだった。お上手。さすがです

 本番の演奏はあらいやかしこ、ポニー、AGOBOT、ヒトリエの順。有料入場者数は32。アンケート戻り19。このうまT、10枚売れる。今回一番少なかったが、お客さんはどこよりも若く、ほぼ10代、20代だけ。そしてフロアが狭い代わりに、終演後はお客さんとバンドメンバーがゆっくり話せる雰囲気がよかった。全体的に、音楽に対してピュアなお客さんが目立っていた印象がある。

ゆーまお君に握手やサインを求める人多数。「でも僕のことなんか知らないでしょ?」という彼の問いに、知らずに来たらドラムのすごい人がいるというので驚いたらしい

「東北ライブハウス大作戦」で新設された今回の3会場は、寄付を募る「木札作戦」を展開中。一口5000円を寄付すると、名前を書いた木札をお店に貼ってもらえる。寄付だから木札?

木札にサインするアゴアニキ

4バンド分の木札揃い踏み。大船渡フリークスにの壁の何処かにこの木札があるはずなので探してみよう

終演後の打ち上げは復興居酒屋「がんばっぺし」。安い。海鮮鍋。旨い。その後、宿泊先のホテルオーシャンビュー丸森へタクシーで移動。大部屋でゴロゴロと寝る

※ がんばっぺしは大船渡市が計画する土地かさ上げ工事にともない、一旦閉店。10月から市内の別の場所で営業を再開するという

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