セーフティーカーとピットインが
レースの流れを変えた!
降水確率が非常に高かった決勝日。微妙な雨が降ったり止んだりの天気が続いたが、決勝前に太陽が顔を出し、気温も急激に上昇した。そのため、ウェット宣言も出されず、全車スリックタイヤで挑むことになった。
スタートドライバーを担当するのは片岡選手。1周目の1コーナーまでにすぐ目の前にいたBRZをパス。すぐに4位に上昇し、3周目で「1'41.782」というファステストタイムを記録。さらに#55 ARTA CR-Zがタイヤにトラブルを抱えて失速したのをパス。レースも序盤に早くも表彰台の3位にまであがっていた。前を行くのはポイントリーダーの#16 無限 CR-Z、トップは#3 NDDP GT-Rの2台だ。しかし、この3台が同じくらいのペースで走っているため、なかなか差は縮まらず、レースは膠着する。
そしてレースが動く。19周目にホームストレートでGT500クラスのマシンのタイヤがバーストし、クラッシュしてしまう。ここでセーフティーカーが入る。このタイミングで勝敗が大きく動くのだが、チームは一瞬のスキを逃さなかった。21周目にピットオープンのサインが出ると同時にチームは片岡選手へピットインを指示。GT500のほとんどのマシンがピットに入っていく中、ミクZ4はGT300でいちはやくピットに入っていく。この判断が今回のレースの明暗を分けたといってもいい。
谷口選手に交代し、ピットアウト。アウトラップでは14位まで落ちたものの、実質1位である。すぐにセーフティーカーも中に入り、レースがリスタートされた。雨もぱらつきはじめ、ライバルチームがタイヤを変えるか否かで悩んでいるところをミクZ4は快走。谷口選手が得意とするセミウェット路面だったこともあり、周囲のライバルよりも1~2秒ほど早いタイムでラップしていく。ほかのチームのルーティンピットを待たずして、ミクZ4は5位にまで上がっていたのだった。
谷口選手はファステストラップを更新しつつ、周回を重ねる。最後まで粘っていた#2 エヴァマクラーレンもピットインし、これでタイミングモニター上でも1位に踊り出た。気がつくと2位の#31 apr プリウスGTに30秒近い差をつけていた。
レース終盤はガソリンが減って軽くなってきたせいか、ライバルたちが43秒台のところをミクZ4は41秒台で走行。しかも、走るたびにタイムを更新していく。このときの様子を谷口選手は「タイヤもブレーキもガソリンも不安はなかった。だから普通に走ってただけ」と語る。そのくらいミクZ4の調子がよかったのだ。
最終的に2位以下に40秒以上もの差をつけて、1位のままチェッカーを受けた! とはいえ、前戦の例もあるので、すぐには喜べないチームとファンたち。車検でエンジンが止まったという一報を受けて大喜びするという、非常に珍しい光景になった。ともあれ、昨年5月の富士戦以来、1年4ヵ月ぶりの優勝である。作戦はよかったが、不慮のアクシデントで結果に繋がらないことがここ数戦続いていた。それだけにこの勝利は格別のものであった。
今回の勝利により、一時は手からこぼれていったチャンピオンが再び射程距離に入った。ポイントランキングは現在5位で42ポイント。1位の#16 無限 CR-Zは60ポイントと、18ポイントもの差があるが、まだ覆せないわけではない。それに2位から6位までの差が6ポイントしかないのだ。次戦のオートポリスの結果次第で勢力図は変わるだろうし、最終戦もてぎでも何が起きるかわからない。
まだまだ王座奪還を諦めるのは早い!
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