ギャンブルを挑むも敗色濃厚
レースも2/3が終わりつつある頃、快晴だった空が一転して雨雲に包まれ、あっという間に大粒の雨が降り出したのだった。ここで大きくレースが動く。GT500ではトップ争いをしていた4台がクラッシュし、勝負権を失った。起死回生の何かに賭けるなら、このタイミングしかない。雨が強くならないことを予想してチョイ濡れスリックで行くか、雨が土砂降りになることを予想して、早めにレインタイヤに交換するか。チームが選択したのが後者だった。
大橋監督によると「SUGOはピットが狭いので、もし雨が強くなってみんなが入って来たら、なかなか前に出られなくなる。しかし、誰よりも早く交換しておけば一気に上位に行けるという作戦です」とのこと。まさに乾坤一擲、ハマれば戦局を一気に逆転できる。
だがしかし……。残念ながら雨は最初強く降っただけで、それ以降はレインタイヤの領域まで振ることはなかった。この時点ですでに勝敗は決していたかに思う。同じタイミングでレインタイヤに交換したライバルたちもズルズルと順位を落としていく。そう、ギャンブルに負けたのである。
「現状のわれわれはこういう作戦を取らざるを得なかった。でないと前に出られるチャンスがほとんどないから」と谷口選手は悔しさをにじませた。片岡選手も「8位とか9位という結果は求めていません。だからもっと上を狙える作戦を取ったんです。結果的に負けましたが、ミスしたとかそういうワケではないと思います」とコメント。
残り10周近くで再びピットインし、インターミディエートタイヤ(浅溝)に交換するも、失ったものを取り戻すには周回数が足りなかった。結果、15位でレースを終えた。今期初のノーポイントである。王座奪還を目指すミクGTプロジェクトにとって、これは大きな痛手だ。大橋監督は「ハイリスクな作戦を取らなきゃいけないという現状をまず変えていかないといけないが、BMWに言えばいいかと言えばそういうわけでもない。次の鈴鹿は耐久なのでチャンスがあるかもしれないが、その後はかなり苦しい戦いになる」と総括した。
痛車の順位を見ると、11位:#48 IS GT-R、15位:#4 ミクZ4、16位:#2 エヴァマクラーレン、21位:#9 攻殻ポルシェ、24位:#96 音々コルベットと、すべてポイント圏外という結果になってしまった。SUGOのマモノは痛車に厳しい。
再び窮地に立たされてしまったミクZ4だが、はたして鈴鹿の1000kmはどのように戦うのか? 鈴鹿では応援シートもある(こちら)ことだし、ファンの力を集めて全力で後押しをしよう! これから先の巻き返しを期待だ!
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