20年を超す歴史の中で、初めてイノベーションを先取りした
こうした動きをもとに、レッドハットの廣川裕司社長は、「1991年にリーナス・トーバルズ氏がLinuxを一般公開して以来、過去22年に渡るオープンソースの歴史のなかで、初めてプロプラエタリを追い越し、オープンソースがイノベーションを先取りして製品を出すことになる」とする。
廣川社長は、Linuxの登場はUNIXの代替であり、JBossはWeb LogicやWebSphereの代替であり、iLOGの代替がBRMSとして登場してきたというオープンソースの経緯を説明しながら、「オープンソースは常に後追いとなっており、先行する技術をいち早くキャッチアップすることが求められていた。しかし、これからはオープンソースがイノベーションを先取りする時代がやってくる。今日がその日になる」と、Red Hat Enterprise Linux OpenStack PlatformとRed Hat Cloud Infrastructureを発表した2013年7月23日を、節目の日に位置づけた。
廣川社長がイノベーションを先取りしたと指摘するのが、「すべてのコンピュート、すべてのネットワーク、すべてのストレージの管理を統合化し、それをOpenStackによって実現したこと」である。
Red Hat CloudForms2.0によって、それが達成されることになり、初めてマイクロソフトやオラクルなどのベンダー製品を、イノベーションの観点で超えたというわけだ。
「マイクロソフトには9万4000人の社員がおり、そのうちの約5万人の開発者によって製品を開発している。オラクルは11万人の社員がおり、そのうち約6万人の開発者が製品を開発している。オープンソースは、100万人の開発者がおり、それとは比較にならない規模になる」という背景があることも強調した。
レッドハットは、これまでにもOpenStackに対しては積極的な投資を続けてきた経緯がある。
同社は2011年秋、「これまでLinuxに取り組んできた経験をOpenStackに投資する」とし、2012年4月にリリースされたEssexではソースコードのコントリビューションにおいてレッドハットが第3位の貢献順位に入ったのに続き、2012年9月のFolsomでは第2位の貢献。そして2013年4月のGrizzlyでは第1位の貢献になったという。
「レッドハットは、OpenStackに対して多大な投資をしている。現在、Red Hat OpenStackは、6カ月ごとにリリースしているが、これはOpenStackそのものが成長過程にあり、新たな機能をいち早く取り込んでいくという狙いがあるため。今後アップストリームでの安定化とユーザーの要件にあわせながら、ライフサイクルの長期化を進めていくことになる」(纐纈常務執行役員)とする。
実は、Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platformは、「今年は、それほど売る気はない」(纐纈常務執行役員)という。「今年はまずは先進ユーザーに新たなテクノロジーを使ってもらうことに、レッドハットは全力をあげて支援する。その分の収益はLinuxなどで計上する。OpenStackがビジネスになるのは先の話」というわけだ。
レッドハットの先行投資が花開くのは、しばらく先になりそうだ。
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