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サービスカタログ、課金管理などの機能を提供する「Red Hat CloudForms 3.0」

レッドハットのクラウド管理ツールがOpenStackに対応

2013年11月14日 15時00分更新

文● 渡邉利和

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 レッドハットは11月14日、エンタープライズ・クラウド管理製品の最新版「Red Hat CloudForms 3.0」の提供を開始した。ManageIQ買収によって獲得した技術に基づく製品で、今年7月に発表された「Red Hat Cloud Infrastructure」(関連記事)の中核コンポーネントとなっていたが、その時点ではOpenStack対応は実現しておらず、「年内に対応予定」という状況だった。今回の3.0のリリースで、予定通りに機能が整った形だ。

OpenStackへの主導的取り組み

 概要説明を行なった米Red Hatクラウド事業部門担当ゼネラル・マネージャーのブライアン・チェ(Bryan Che)氏は、オープンソースプロジェクトであるOpenStackの開発にレッドハットが精力的に取り組んでいることを強調した。

米レッドハット クラウド事業部門担当ゼネラル・マネージャー ブライアン・チェ氏

 レッドハットは現在、OpenStackに対するコードのコントリビューションに関してトップランクになっているという。こうした貢献の結果、同社はOpenStack開発コミュニティの中でリーダーシップを発揮しうる立場になっており、レッドハット製品を利用するユーザーやパートナーの意向をOpenStackの開発に反映できるようになっている。こうした取り組みはLinuxの場合と同様であり、同社がOpenStackを極めて重視していることを端的に示す指標となっている。

 CloudForms 3.0は、様々なクラウドを包括的に管理できる“クラウド運用管理プラットフォーム”の製品だ。リソース管理やキャパシティプランニング、構成管理といったクラウドインフラの管理機能と、ワークフロー制御やセルフサービス支援のためのサービスカタログ機能、課金管理や利用容量制限といったエンタープライズユーザーが運用管理時に必要とする機能を兼ね備えている。

CloudForms 3.0の機能概要。今回、OpenStackにも対応した

 対応するクラウド環境として、従来はAmazon AWSやVMware vSphere環境が挙げられていたが、今回の3.0でOpenStackにも対応したことで、同社の戦略との整合性がとれ、買収後の製品統合が順調に進んでいることが実証された形だ。なお、7月にRed Hat Cloud Infrastructureに組み込まれた時点でのCloudFormsはオープンソースソフトウェアではなかったのだが、今回の3.0リリースのタイミングでオープンソース化された点も、同社の従来の方針に沿ったものといえるだろう。

 クラウドの基本的な管理機能はOpenStackで実現されるが、エンタープライズユーザーが必要とする、より高度な“ビジネス寄り”の機能についてはOpenStack単体ではカバーできない。この欠落部分を埋め、エンタープライズユーザーとOpenStackの間の橋渡しをするのが、CloudFormsの基本的な役割だといえるだろう。OpenStack対応以外にも、Amazon EC2で提供されているエンタープライズ向けの機能に対応するなど、既存環境に対する対応強化も行なわれており、様々なクラウド環境を併用しつつ、統合的な運用管理体制を構築したいユーザーに役立つ機能が実装されている。

 CloudForms 3.0は、従来通りRed Hat Cloud Infrastructureに組み込まれるほか、単体でもサブスクリプションモデルで提供される。クラウド環境を自社所有しているユーザーの場合は、管理対象となるサーバのソケットペア単位での課金となり、2ソケットサーバ1台あたり年間24万400円(スタンダードサポート)または31万1,900円(プレミアムサポート)。また、外部クラウドの運用管理に利用する場合には物理サーバ単位ではなく、仮想サーバのインスタンス単位の課金となり、1インスタンスあたり8,600円(標準価格)となる。

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