米国ボストンで11日に開幕した「Red Hat Summit 2013」。1993年に創業されたレッドハット社は今年で20年目。この記念すべき年のサミットでジム・ホワイトハーストCEOはテーマとして「連帯すること(Connect)」を選んだ。
レッドハットはLinuxのディストリビューションを提供する企業として、オープンソースソフトウエアの推進役を果たしている。コンピューター利用のスタイルがクラウドベースに移行する時代に、あえて「連帯すること」というテーマを選んだ理由のひとつは「OpenStack」だろう。オープンソースソフトウエアの開発スタイルである「コミュニティーとしての連帯」ではなく、「クラウドコンピューティングとしての連帯」であり、OpenStackを業界の標準として定めたいレッドハットの意欲が現れている。実際サミットの基調講演にはOpenStackの中核を担うIBMのジェネラルマネージャーが登壇して、中国でのLinuxの取り組みやフランスでの事例を紹介するなど、蜜月ぶりを披露した。
そもそもOpenStackは、クラウドコンピューティングを構築する際に必要なオープンソースソフトウエアをパッケージしたもの。当初開発をリードしていたのはラックスペース社とNASAだったが、最近のリリース(Grizzly)では圧倒的にレッドハットだ。「Bitergia」による解析では、ソースへの貢献数はレッドハットがトップを走り、同社の約半分の数でラックスペースとIBMが続く。日本では営業していないラックスペースやNASAが中心だったOpenStackにあって、国内でも実績のあるIBMやレッドハットといった企業が開発を担っている点は覚えておくべきだろう。
レッドハットは戦略製品としてパブリック/プライベートなクラウドコンピューティングを実現する「Open Hybrid Cloud」を提唱している。そのためには、パブリッククラウドを推進する「Amazon AWS」との連携だけでなく、企業ソリューションをプライベートクラウドに移行させつつ、相互運用性を保ちながら稼働させられるOpenStackが重要なポジションを担う。OpenStackがLinuxの次に重要なロードマップたるゆえんだ。
サミットの基調講演では特に目新しい話題がなかったものの、同日に開催された「JBoss」の講演では、ミドルウェアの領域でも確実にモバイルを絡めたハイブリッドな方向に向かいつつあることが強調された。今後のクラウドコンピューティングにおいて、レッドハットの動きには引き続き注目していくべきだろう。
