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RedHat Summit 2013リポート(2)

徹底的に話して素早く行動、レッドハットの社風

2013年06月19日 07時00分更新

文● 松下康之/アスキークラウド編集部

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 レッドハット社のCEO、ジム・ホワイトハースト氏はかなり変わった経歴の持ち主だ。

Red Hat

「RedHat Summit 2013」のキーノートで熱弁を振るうジム・ホワイトハーストCEO

 ホワイトハースト氏は米国のライス大学を卒業後に、ハーバードビジネススクールでMBAを取得。ボストンコンサルティンググループでコンサルタントとして働いたあと、当時のクライアントであるデルタ航空にCOOとして迎えられた。そしてレッドハットにCEOとして加わったわけだが、いわゆるコンピューター業界でのキャリアがない。大学でコンピューター科学を専攻していたとはいえ、ソフトウェア業界のCEOとしては異色だ。

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製品及びテクノロジーを担当する総責任者、上級副社長のポール・コーミア氏。仮想化の技術に関して、Linuxの産みの親であるリーナス氏からのメールを紹介した

 とはいえ、そんな異色なCEOを支える副社長たちは、マイクロソフトやサンマイクロシステムズ、デル、ディジタルイクイップメント、IBM、HPなどでキャリアを積んだベテランたち。異色のCEOを取り巻く体制は盤石であり、ホワイトハースト氏はその社風を「レッドハットはとてもユニーク。競合他社がマネできないくらいに」と語る。

 その例として、ホワイトハースト氏がレッドハットに入社した直後の例をあげる。

「ある製品に関するミーティングで、中核エンジニアが上司の判断が間違っていたことを堂々と説明したんだ。CEOである私のいる前で、普通なら考えられない。並みのボスなら怒り狂うよ。でもちゃんと説明して、理解させる。コンセンサスを取らなくても、反対意見があってもいい。とにかく聴くこと、それについて反応すること、それがレッドハットのユニークさだね。もちろん『今すぐコレをやれ!』と命令したくなることもあったけどね」

 この方法でうまくいかないなら、コミュニティーへの参加と還元がDNAに組み込まれているレッドハットのカルチャーにはそぐわない。

「その代わり、ひとつのことを決めるのにとても時間がかかる。これもオープンソースのコミュニティーと同じだ。しかし徹底的に話し合って、参加する人たちと会話することによって、結果的に早く進める」

 オープンであることと、ベンダーに縛られることを嫌うレッドハットの姿勢は、Linuxそのものから派生しているのだろう。いまや売上高10億ドル超の上場企業となったレッドハットはそのユニークなカルチャーを保ったまま、エンタープライズ向けOSを配布するベンダーから、クラウドコンピューティングの時代に軸を移そうとしている。目指すはオープンでパブリックなクラウドと、セキュアで信頼性の高いプライベートなクラウドのハイブリッドな環境を提供するベンダーになることなのだ。

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参加者で賑わう展示ブース。HP、IBM、Cisco、NECなどもスポンサーとして出展していた


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