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最新パーツ性能チェック 第139回

「Radeon HD 7990」はライバルの“巨人”とどう戦うのか?

2013年04月26日 15時00分更新

文● 加藤 勝明

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Tomb Raider

 最後はAMDが新技術「TresFX」を導入したアクションゲーム「Tomb Raider」で試してみる。画質はプリセットの「Ultimate」に設定し、ゲームに標準搭載されているベンチマーク機能を利用して計測した。

Tomb Raider Ultimate画質/1920×1080ドット(単位:fps) better→

Tomb Raider Ultimate画質/2560×1440ドット(単位:fps) better→

 Radeon系への最適化が高いタイトルだけあって、GTX TITANに比べHD7990は非常によい結果を出している。AMD自慢の毛髪の動きシミュレーションの影響はさておいても、2560×1440ドットでも滑らかで快適なゲームが楽しめるだろう。HD7970との性能差も大きく、HD7990を選ぶメリットが感じられる。

 ちなみにGTX680 SLI環境でテストしたところ、最低fpsが一瞬ではあるが異常に低くなった。ドライバー由来の問題のように思えるが、最高fpsの出方を見るかぎり、ポテンシャル自体はHD7990よりも上のようだ。

高負荷時500W弱という燃費に驚き

 ハイエンドGPUを2つ載せた製品だからして、HD7990の消費電力は高いことは容易に想像できる。そこで「Watts Up? PRO」を使い、システム起動後10分時点と「Crysis3」プレイ10分後の消費電力を比較することにした。また、同じタイミングで「HWiNFO64」を利用しGPU温度を読むことにする(マルチGPU環境では温度の高い方を採用)。

消費電力(単位:W) ←better

 HD7000シリーズのGPUでCrossFireXの環境を作った場合、負荷の低い時は片方のGPUの電源を止める機能がある。HD7990もその機能に対応するため、消費電力は(若干高めだが)HD7970単体の約7W増し程度になっている。

 しかしゲーム中となると状況は一変。500W近いパワーをガンガン消費する。現行Radeonの抱える最大の欠点をそのまま2倍にしてしまった格好だ。HD7790に組み込まれていた制御ステージの細かいPowerTuneを載せていれば、もう少し変わったかもしれないが、ピーク消費電力は大して変わらないだろう。これを見ると、GTX TITANすら可愛く見えてくる。

GPU温度(単位:℃) ←better

 一方GPU温度はあくまで目安として捉えていただきたい。HD7990の高性能クーラーのおかげで、これだけの内容を持ったカードなのにピークが80度未満という点は驚き。掛け値なしに今回のリファレンスクーラーの出来は史上最強だ(あれだけカードが長いのだから当然といえるが)。

で、製品はいつ出るの?

 一部ゲームでのパフォーマンス不足はさておき、HD7990はフルHD以上のディスプレー環境で最高のゲームをしたいなら、非常に優れた描画性能を発揮する存在だ。価格が高くワットパフォーマンスも悪いため、真のエンスージアストしか手を出せない製品になったのは残念だが、これを手にした際の興奮度はさすがハイエンドカードといったところだ。

Radeon HD 7990は、フルHD以上のディスプレー環境で最高のゲームをしたいなら、非常に優れた描画性能を発揮する

 しかし、いくら面白いGPUが出たところで、実際の製品として流通しなければ意味がない。先月、ASUSTeKはNew Zealand版の超スペックカードを出しているので、いきなりMalta版に変更するとは思えない。ここからどうやってMalta版HD7990を市場に投入していくのか、あるいは日の目を見ずにHD8000へシフトしてしまうのか、AMDファンとしては非常に興味の湧くところである。

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