イレギュラーをレギュラーにする術と
接客術に感動したっ!
コンテストは大きく2部に分かれ、まずは天候不良や欠航などが発生した場合を想定し、その場で状況が伝えられた後、10分でアナウンス原稿を作成。アナウンスの分かりやすさや伝わりやすさを審査するというものだ。
次に午後から行なわれたのが、よりリアルで実践的な応対が必要となるカウンターチェックイン審査。あるある! という手ごわい旅客10組が用意され、突然現れた手ごわい旅客をどうおもてなしするか?という技量が問われる。
コンテストにエントリーしたのは、日本全国の国際線を含むJALチェックインカウンターにて笑顔で応対してくれるグランドスタッフ(すべて女性)。各空港の精鋭が48名エントリーされ、ここ羽田のテクニカルセンターで前日に予選が行なわれていた。
取材した本選では予選で「お客様が常に新鮮な感動を得られるような高品質なヒューマンサービスの提供を目指し、お客様に“寄り添い”、JALフィロソフィーを価値観として体験できる安全とサービスのプロフェッショナル」と認められた11名がエントリー。いわばチェックインカウンターのレディース・トップガン。長蛇の旅客をある意味で駆逐していくんだからその名にふさわしいし、もうお姉ちゃんとか言える状況にネーし……。以降、自重してその様子をお伝えしよう。
アナウンス審査では、その場で発表されたイレギュラーな状況をメモに取り、アナウンス原稿を作成していく。その中でひときわ目立っていたのが、新千歳空港の田村 梓さんだ。状況をすべて頭の中に入れ、頭の中でアナウンス原稿を作るという神業を披露し、みごとアナウンス賞を受賞していた。
さて本選の見所ともいえるチェックインカウンター審査は、誰が見てもイラッ! とする旅客役が用意され、見ているこちらまでハラハラさせられるロールプレイング形式で行なわれた。RPGと同じで、エントリーした選手はダンジョンの深層にいるラスボスなみにレベル高い旅客に臨機応変に応対するというものだ。
もちろんどんな旅客が来るのかは選手に一切伝えられていないし、ゲームなんて要素はさっぱりなく、超リアルな「いるいる! こういう嫌な客!」って口にもらしてしまうほどの演技を見せる。しかもゲームのラスボスなみに、1つの問題を対処すると別の新たな問題が発生したり、無理難題を言ってきたりと、かなり硬いラスボスでかつ、弾の降ってこない安全地帯はないなのだ。グランドスタッフの言葉や顔色ひとつで、旅客役の地雷を踏みかねないリアルなものだった。
読者にもイラッ! としてもらいたいので、旅客の例を次のページでいくつか紹介しておこう。