マイクロソフト・トゥディ 第32回

新Officeも起爆剤とならず—Win8の苦戦はいつまで続く？

Windows 8はなぜ苦戦しているのか？

　では、なぜWindows 8は苦戦しているのだろうか。

　最大の理由は、やはりマーケティング施策の遅れだろう。

　発売日の驚きを演出するため、発売までWindows 8に関する告知をほとんど行なわない施策を展開してきたマイクロソフトだが、結果として、認知度や新機能に対する理解度が低いままとなった。これが初期の売れ行きにマイナス要素となった点は否めないだろう。

　日本マイクロソフトでは、Windows 8に向けて過去最大規模のマーケティング予算を計上するとしているが、その成果は今のところ限定的だといわざるをえない。

　また、既存OSで十分とするユーザーが多いことも、Windowsの販売拡大には足かせになっている。

　日本マイクロソフトでは、現行のWindows 7搭載PCに、Windows 8を搭載するだけでも、起動時間が2.1倍速くなり、アプリケーションの起動やシャットダウン時の時間も短縮化できる効果があるとするが、そうしたメッセージは届ききっていない。

　さらに、Windows 8特有の新たなインターフェースへの移行に踏み出せないとするユーザーが少なくないばかりか、企業ユーザーがWindows 8の導入に慎重だという点も見逃せない。

　Windows 8の目玉のひとつとされたタブレットPCも、この分野では、Androidが58.8%、iOSが37.6%の構成比を占め、Windows 8搭載タブレットPCは2.8%に留まっている（BCNによる2月4日〜10日の調査データ）。

パソコン 搭載OS別販売台数構成比 2013年2月4日〜2月10日（週次）
—	デスクトップ	ノート	タブレット端末	左記合計
Android	—	0.0	58.8	17.4
iOS	—		37.6	11.1
Mac OS X	13.4	5.3	—	4.7
Windows 7	26.2	15.9	0.4	12.6
Windows 8	60.4	78.7	2.8	54.0
Windows RT	—	0.0	0.4	0.1
Windowsそのほか	0.0	0.0	0.0	0.0

新たなOfficeも打開策とならず

　業界筋では、2月7日に発売した新Officeで、Windows 8に弾みをつけようと考えていた。

　日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、「新たなOfficeは、Windows 8発売後の一番大きなマイルストーン。新しい時代の両輪が揃った。新たなOfficeによってWindows 8の価値を高め、Windows 8によってOfficeの価値を高めるという相乗効果がある」と語り、「日本のPCメーカーとともに、一所懸命市場を盛り上げたい」と意気込んだ。

日本マイクロソフト 代表執行役 社長 樋口泰行氏。新Office発表会において、「新たなOfficeは、Windows 8発売後の一番大きなマイルストーン」と語った

　2月7日のOffice発売にあわせて、PCメーカー14社から約170機種のPCが順次発売。これに伴って、春モデルへとラインアップが移行し、Windows 8搭載PCが第2世代へと進化することになったことも、期待を寄せる理由のひとつだった。

新Office発表会には、NECパーソナルコンピュータ 代表取締役社長 高塚 栄氏、ソニー 業務執行役員 SVP VAIO＆Mobile 事業本部 本部長 赤羽良介氏、東芝 デジタルプロダクツ＆サービス社 DS 第一事業部 事業部長 長嶋忠浩氏、富士通 執行役員 常務 大谷信雄氏も登壇

　だが、発売日を含む2月4日〜10日の売れ行きは今ひとつだ。

　BCNの調べによると、PCの販売台数は、前年同週比で12.5%減。Windows 8搭載PCの構成比は75.6%にまで上昇。デスクトップPCでもWindows 8搭載PCが60.4%を占めるようになったものの、前年割れの状況からは抜け出せないままだ。

　スロースターターとなったWindows 8だが、これからどんな形で巻き返すことができるのだろうか。今後の施策が注目される。

パソコン 搭載OS別販売台数構成比 2013年2月4日〜2月10日（週次）
—	デスクトップ	ノート	左記合計
Android	—	0.0	0.0
Mac OS X	13.4	5.3	6.7
Windows 7	26.2	15.9	17.7
Windows 8	60.4	78.7	75.6
Windows RT	—	0.0	0.0
Windowsその他	0.0	0.0	0.0

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