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石狩立地の真の理由は災害リスクでも、コストでもなかった?

さくら田中社長が考えたポスト石狩の「予想外」と「未来」

2013年02月04日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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2011年11月の石狩データセンター竣工以降、さくらインターネットは次々と新サービス・新技術を導入してきた。同社の田中邦裕社長に2012年に感じたポスト石狩の動向や注目の最新技術、そしてエネルギーとITを統合する新しいデータセンター戦略について聞いてきた。

コロケーションに注目が集まったのは“誤算”

 東京から遠く離れた北海道石狩市での建設、外気冷却やHVDCの導入による省エネ化、コスト削減によるサービスの低廉化など、さまざまな新機軸を打ち出した石狩データセンターの竣工から1年が経った。開始以降すぐに物理サーバーと仮想サーバーのいいとこどりを目指した専用サーバをリニューアル。また、4月には現地に行かずに機材設置などを依頼できる「リモートハウジング」の提供を開始した。

さくらインターネット 代表取締役社長 田中邦裕氏

 こうした2012年の石狩データセンターの動向について、さくらインターネット 代表取締役社長の田中邦裕氏は、「クラウドやホスティング系の需要は予想通りでしたが、1号棟が1年半で埋まってしまい、コロケーションサービスの拠点として注目が集まったのは誤算でした」と総括する。クラウドやホスティングを前提とした郊外型データセンターとして設計されていた石狩データセンターだが、実際はユーザーが機器を持ち込みたいという需要が意外なほど高かったということだ。

 しかも、バックアップサイトではなく、メインサイトで用いられることも多く、一般企業だけではなく、官公庁や学校の導入も増えているという。「もはや(首都圏から)遠いことがネガティブではなく、ポジティブな要因として捉えられつつあります」(田中氏)とのことで、大きなパラダイムシフトが起こっていると述べる。

日本のITのコスト変革を目指す石狩データセンター

 この背景として、田中氏はやはり東日本大震災の影響があると指摘する。「同じ電力会社を利用することの不安感があります。一方で、異なる電力会社を使おうとすると、DRの観点では代替地がないんです」(田中氏)。その点、首都圏から遠く離れた石狩データセンターは、首都圏と電力会社が異なり、電力代自体も安いという。

 距離が遠いことから生じる遅延に関しても、「アプリとDBが物理的に離れていれば、遅延は大きくなります。“HTML”を工場の最終製品として考えれば、この生産工程を短くするよう配置することが必要」と認識しており、同一システムのサーバー通信をなるべく同じデータセンター内で完結させるようにした。この結果、「Webシステムとして見れば、100msを超えないレベルになり、あまり問題にならなくなりました。遅延に関して問題ないことが、ユーザーにも理解されてきたようです」という。今後はデータセンターでの10Gbps化を進め、より広帯域のネットワークを実現するという。

(次ページ、石狩をシンガポールに次ぐアジアの拠点に)


 

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