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石狩立地の真の理由は災害リスクでも、コストでもなかった?

さくら田中社長が考えたポスト石狩の「予想外」と「未来」

2013年02月04日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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石狩をシンガポールに次ぐ
アジアの拠点に

 しかし、コロケーション用途が増えてきたことで、今後は石狩データセンターの設計も変更していく必要があるという。「もともと複数のユーザーがデータセンターに入ることを前提としていません。コロケーション用のデータセンターとセキュリティのモデルが全然違っています」ことで、カメラやチェックポイント、鍵管理などを見直していく。また、ユーザー用の会議室や事務所を設ける計画もあるとのことで、2号棟以降の建設においてはコロケーションを強く意識した設計を行なう予定だ。

石狩にはデータセンター用の用地が確保されている

 また、石狩データセンターは今後、グローバルでの展開も進めていく計画だ。グローバル展開というと、現地にデータセンターを作ったり、子会社を置いたりといった施策が頭に浮かぶが、さくらインターネットはあくまで石狩データセンターを他のアジア諸国にも販売するという形でビジネスを進める。実に現実的な選択肢といえる。

 田中氏は、シンガポールで日本のデータセンターは高いと評価されたことを引き合いに出し、「石狩データセンターのようなモデルであれば、安く提供できるし、品質も上げられます。サポートや約款の課題はありますが、スペックや柔軟性を求めるアジアのユーザーに売れるはずです」と抱負を語る。地震が少なく、海底ケーブルが陸揚げされている石狩の地勢的なメリットを活かすことで、アジア圏でのニーズに応えられると期待する。

事業者にとってのフラッシュメモリ、省エネ技術

 さて、サービスに関しては、竣工とともにスタートした「さくらのクラウド」が障害により、サービスを半年以上無償で提供することになった。田中氏は、「さくらのクラウドは、半年間は開発期間に近い状態で、10月から課金開始を再開しました。ストレージ障害は本当に修羅場で、お客様には本当にご迷惑をおかけしました」と振り返る。しかし、この経験を経て、完成度が大きく上がり、ようやく主力サービスとして全面展開できるとアピールした。

 もう1つ2012年から同社が積極的に導入しているのが、I/Oを大幅に高速化するフラッシュメモリだ。ioDriveのような超高速フラッシュをレンタルサーバーサービスのメニューの中に盛り込むことで、月額課金で利用できるようした。マネージドサーバやVPSには、コンシューマ系製品を用いた安価なSSDオプションを設け、積極的にユーザーの利用を促している。「メモリは大容量化し、CPUはマルチコアに進んできたのに、HDDは容量単位のIOPSがどんどん下がっています。仮想化も枯れてきたので、ボトルネックはいよいよディスクのI/Oになってきています」と、フラッシュ導入の背景を語る。

 サービスプロバイダーとして、ここまでフラッシュに傾注するのはなぜか? 「やはりSSDが大容量化してきたことが大きいです。大容量化したことで、単価が下がり、多くのユーザーが収容できます」とユーザーの集積度がポイントだと述べる。コンシューマ系SSDは製品寿命が短く、故障したら交換する必要があるが、田中氏は「コンシューマ系SSDの価格や速度は非常に魅力的。在庫を持つ覚悟で運用体制を整備すれば、問題ありません」と腹をくくっている。

(次ページ、「発電所=データセンター」という未来のための石狩)


 

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