魅力的な製品が揃ったWindows 8時代のスレートPC
実はもともと個人として、スレートPCの操作感がWindows 8によってどう変わるかには大きな関心があった。
Clover Trail搭載のスレートPCという意味では、富士通が一足先に製品を販売していたり(関連記事)、ジャケットシステムで機能拡張ができる日本ヒューレット・パッカードの「ElitePad 900」(関連記事)といった注目株もあるのだが、その中でもThinkPad Tablet 2は「薄く、軽く、そして黒い」という理由でもっとも注目してきた機種だ。
一方で現在Windows 8マシンで注目を集めているのは、「ハイブリッド型」や「コンバーチブル型」と呼ばれるギミック面での新しさを感じさせる製品だ。レノボで言えば、「IdeaPad Yoga 13」などが当てはまる。ディスプレー部分がスライドしたり、液晶部分がぐるっと後ろに反転したり、中にはASUSの「TAICHI」のように天板と内側の両方にディスプレーを搭載したものもあり、ちょっとありえないぐらい自由奔放なアイデアを競っている状況である。
そういう意味では、スレートPCは、ピュアタブレットと呼ばれていた時代からずいぶんと長い歴史を持つが、正直使い勝手にいろいろ問題があり、用途が限定された企業ユース以外ではあまり普及しなかった。
究極にシンプルなぶん、見た目もスペックも差別化が難しく、Windows 8とともに、ノートとタブレットが融合した新しいタイプのパソコンが登場していることを考えれば、割と地味な存在とも言える。パッドにこだわるのであれば、CESで発表された「ThinkPad Helix」(関連記事)のように、取り外して液晶ディスプレー部分だけを持ち運べるタイプのマシンがあり、CPUも性能の高いCore iシリーズとなっている。
キーボードを持たないからこその利点
過去のスレートPCは、小型軽量である代わりに性能に制約があり、特定用途向けに作りこまれたアプリだけで済むのならともかく、キーボードを前提に作られた汎用のWindowsアプリを使うのには何かと支障があるというのも事実だった。Windows 8のソフトキーボードは過去と比較して、それなりに使いやすく考えられているが、画面の占有面積が広いので、ウェブメールやSNSなどの操作ではストレスを感じる面もある。
このあたりは長く使いながら結論を出していこうと思う部分だが、数日使った範囲では、レスポンス面では十分で、携帯性が高く、バッテリも十分に持ち、キーボードレスでもかなりの部分に対応できるという印象を持っている。
個人的にはハイブリッド型では、キーボードを持つぶん、タッチ主体の操作に割く時間は短くなりがちだ。そういう意味では、潔くキーボードを廃したことで、Windows 8のタッチ操作に真摯に向かい合える製品と言えるかもしれない。
もちろんビジネスに必要な書類をこれ単体で作成できるというのは無理があるとは思うのだが、クラウド系サービスの活用によって、デスクで作成したファイルを外出先で呼び出す労力が大幅に減っている背景もある。まだ種類は少ないが、Windows ストアで入手したアプリをModern UIで気軽に使用するという点にも自然と関心が向かう。
そういう意味では、海外でも販売している通信内蔵版を国内でも展開してほしいという希望が強い。
いずれにしてもThinkPad Tablet 2は、Windows 8がどういうものか知りたいという層には、オススメできる十分な完成度である。個人向けの販売が始まったといっても、まだまだ品薄なようだが、なるべく早期にユーザーの手元に実機が届く状況ができればと思う。